UN Women事務局長がCSW70で世界の女性の法的権利格差と司法アクセス改善を訴える

UN Womenのシマ・バフース事務局長は、第70回女性の地位委員会(CSW70)に向けたマルチステークホルダー・ヒアリングで発言し、女性と少女が司法にアクセスできる社会制度の整備を各国に求めた。発言の題は「正義を否定されたすべての女性と少女のために」。CSW70では、司法へのアクセスを通じて女性と少女の権利を確保することが主要テーマに据えられており、ジェンダー平等を理念にとどめず、法制度と救済の仕組みにどう反映させるかが焦点となっている。

バフース事務局長は、世界の女性が有する法的権利は男性の64%にとどまり、完全な法的平等を達成した国はないと指摘した。さらに、レイプにおける同意を法的に定義していない国が54%、同一労働同一賃金法を持たない国が44%、児童婚を容認する国が4分の3に及ぶとして、法制度そのものに残る格差を強調した。これらの数字は、女性差別が個人の偏見や慣習だけでなく、刑法、労働法、家族法、婚姻制度などの制度構造に埋め込まれていることを示している。

特に深刻なのは、紛争や政治的不安定のもとで女性と少女が受ける被害である。バフース事務局長は、紛争地帯で暮らす6億7600万人超の女性・少女が、紛争関連性暴力の拡大に直面していると述べた。戦時性暴力、避難先での搾取、児童婚、人身取引、司法機関の機能不全は、いずれも女性の安全と尊厳を奪う。被害を受けても警察や裁判所にアクセスできなければ、権利は制度上存在していても実際には保障されない。

今回の発言で示された解決策は、女性が利用しやすい司法制度への投資、ジェンダーに対応したサバイバー中心の支援、司法制度のあらゆる段階における女性リーダーの確保、女性の権利団体への政治的・財政的支援である。これは、法律を整備するだけでは不十分で、相談窓口、通訳、保護命令、証拠収集、医療・心理支援、法的援助を一体で機能させる必要があるという考え方に基づく。司法アクセスは、裁判所に行けるかどうかだけでなく、被害者が二次被害を受けずに支援を受けられるかを含む課題である。

日本にとっても、これは遠い国際課題ではない。性暴力、DV、職場での賃金格差、妊娠・出産をめぐる不利益取扱い、ひとり親家庭の貧困、外国人女性の相談アクセスなど、女性の権利保障は国内制度とも深く関わる。UN Womenの訴えは、ジェンダー平等を啓発の言葉として扱うだけでなく、法律、予算、相談支援、司法手続、民間団体支援を通じて実効性を持たせる必要を示している。CSW70をめぐる議論は、各国政府だけでなく、自治体、司法関係者、企業、教育機関が女性と少女の権利を具体的な制度運用に落とし込むための参照点となる。

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