ユニセフ、紛争下の子ども被害3万8,558件を報告

この記事のポイント

1.ユニセフ事務局長は、2025年に確認された紛争下の子どもへの重大な権利侵害が3万8,558件に上ったと報告した。
2.子どもの死傷の約70%は爆発性兵器によるもので、ウクライナ、アフガニスタン、ミャンマー、イスラエルとパレスチナ、レバノンで多く確認された。
3.政府軍と関連主体による侵害件数が、初めて非国家武装集団による件数を上回った点も示された。

国連安全保障理事会で発言をするユニセフのラッセル事務局長

ユニセフ(国連児童基金)のキャサリン・ラッセル事務局長は2026年6月24日、ニューヨークの国連安全保障理事会で開かれた「子どもと武力紛争」の公開討論会で、国連事務総長の最新報告書に基づき、2025年に確認された子どもへの重大な権利侵害が3万8,558件に上ったと述べた。日本ユニセフ協会は6月26日、この発言の要旨を公表した。報告対象には、殺害・負傷、徴用・徴兵、拉致、性暴力、人道支援へのアクセス妨害、教育・保健・保護からの排除などが含まれる。

今回の発言で重く示されたのは、確認件数の多さだけではない。ラッセル事務局長は、2025年に確認された子どもの死傷の約70%が爆発性兵器によるものだったとし、件数が多い地域としてウクライナ、アフガニスタン、ミャンマー、イスラエルとパレスチナ、レバノンを挙げた。爆発性兵器は、直接の死傷だけでなく、学校、病院、給水設備、電力網など、子どもの生活を支える民間インフラを破壊する。攻撃後に残る不発弾も、戦闘が終わった後の地域で子どもの生命と身体を脅かし続ける。

報告書は、複数の重大な権利侵害を受けた子どもが3,100人を超えたこと、人道支援へのアクセス妨害や人道支援活動への攻撃が8,000件を超えたことも示した。拉致、徴用・徴兵、性暴力が重なる事案では、被害は一時点で完結しない。解放後にも、家族再統合、心身の回復、教育復帰、地域での受け入れなどの支援が必要になる。ここで扱われているのは、紛争の副次的被害ではなく、子どもの生命、尊厳、発達、教育を同時に損なう権利侵害である。

国際的な子どもの保護枠組みという点では、政府軍およびその関連主体による重大な権利侵害件数が、今回初めて非国家武装集団による件数を上回ったとの指摘がある。これは、「加害主体は主に武装集団である」という単純な理解では足りないことを示す。国家は国際人道法と国際人権法を守る義務を負う側であり、その軍や関連主体による侵害が増える場合、国際的な監視、調査、責任追及の仕組みがどこまで機能するかが問われる。

ラッセル事務局長は、ドローン、自律型・遠隔操作型システム、AIによる標的選定にも触れた。人口密集地域でこうした技術が使われると、子どもは攻撃の瞬間だけでなく、上空に機体が存在し続ける環境そのものから心理的な負荷を受ける。兵器技術の変化は、被害の把握方法にも影響する。死傷者数だけでは、恐怖、避難生活、学習機会の喪失、保護者との分離といった被害を十分に捉えられないためである。

ただし、国連の「子どもと武力紛争」枠組みには、一定の成果も示されている。2025年には1万3,000人を超える子どもが政府軍や武装集団を離れ、社会復帰に向けた支援を受けた。コロンビア、ハイチ、シリア、モザンビーク、リビア、ソマリア、コンゴ民主共和国、エチオピア、イエメン、南スーダン、スーダンでは、国連との連携や予防措置、子どもの解放に関する進展が示された。日本ユニセフ協会が公表した今回の要旨は、紛争下の子ども保護を、遠隔地の人道問題ではなく、国際法、援助政策、兵器移転、教育保護を横断する課題として読む材料になる。

出典

公益財団法人日本ユニセフ協会(PR TIMES)
URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002715.000005176.html

人権ニュース編集部

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