長野県、企業人権セミナー開催 カスハラ義務化前に弁護士解説

この記事のポイント

1.長野県などが7月30日、カスタマーハラスメントへの対応を扱う企業人権セミナーを長野市で開く。
2.長野第一法律事務所の一由貴史弁護士が、従業員の尊厳を守る職場づくりと実務上の対応を解説する。
3.2026年10月1日から全事業主にカスハラ防止措置が義務化され、県内企業には方針や相談体制の整備が必要となる。

長野県のサムネイル

長野県、長野県教育委員会、長野県企業人権教育推進連絡協議会は7月30日午後2時から、長野市生涯学習センターで「令和8年度企業人権セミナー」を実施する。テーマは「大切な従業員を守ろう 弁護士と学ぶカスタマーハラスメントへの対応のポイント」。関東経済産業局が主催し、長野市が協力する。企業における人権教育を進め、働く人の尊厳を守る職場づくりにつなげる。

講師は長野第一法律事務所の一由貴史弁護士。一由弁護士は、過労死・過労自殺を含む労働問題、行政訴訟、刑事・少年事件などを扱い、全国過労死弁護団幹事や長野県弁護士会人権擁護委員会委員長、長野県人権政策審議会会長などを務めてきた。セミナーの定員は先着150人で、参加費は無料。企業関係者だけでなく一般の人も聴講でき、会場には手話通訳者を配置する。後日、録画配信も予定している。

開催時期には制度上の理由がある。2025年6月11日に公布された改正労働施策総合推進法は、2026年10月1日から、カスタマーハラスメントを防止するための雇用管理上の措置を全ての事業主に義務付ける。厚生労働省の指針に沿い、事業主は、カスハラを許容しない方針の明確化と周知、相談体制の整備、発生後の迅速な対応、行為を抑止する措置、相談者のプライバシー保護や不利益取扱いの防止などを実施しなければならない。

長野県が2025年2月から3月に実施した実態調査では、回答した県内企業483社の21.7%がカスハラ行為の発生を認識していた。対策を「講じていない」とした企業は40.4%、「検討しているが講じていない」は30.8%で、合計すると71.2%に達する。県内労働者894人への調査では、36.2%がカスハラ被害を受けた経験があると回答した。勤務先の対策については、25.6%が「実施されていない」、34.9%が「分からない」と答えている。

カスハラ対策では、従業員を顧客の暴言や威圧、過度な要求から守ると同時に、正当な苦情や意見まで一律に排除しない運用が欠かせない。改正法上のカスハラは、顧客や取引先、施設利用者などの言動であり、社会通念上許容される範囲を超え、その結果として労働者の就業環境を害するという3要素を全て満たすものを指す。要求内容の妥当性と、要求手段や態様の相当性を分けて判断する必要がある。

長野県は6月22日、県内事業者向けに「カスタマーハラスメント対策 社内対応マニュアル整備の手引き」と特設サイトも公開した。手引きには、社内方針、対応例、対応フロー、社内体制、再発防止策の記載例が含まれる。7月30日のセミナーは、こうした資料を自社の方針や相談窓口、現場の対応手順へ落とし込む前段階となる。参加申込みは7月24日まで、ながの電子申請サービスで受け付ける。

出典

長野県「令和8年度企業人権セミナーを開催します」
URL:https://www.pref.nagano.lg.jp/jinken-danjo/happyou/260625press.html

出典 長野県「令和8年度企業人権セミナーについて」
URL:https://www.pref.nagano.lg.jp/jinken-danjo/c_seminar2026.html

長野県「カスタマーハラスメントの防止について」
URL:https://www.pref.nagano.lg.jp/rodokoyo/kasuhara-boshi.html

長野県「カスハラ対策特設サイト・事業者向け手引きを作成・公表しました」
URL:https://www.pref.nagano.lg.jp/rodokoyo/happyou/260622press.html

厚生労働省「令和7年労働施策総合推進法等の一部改正について」
URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/zaitaku/index_00003.html

人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

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