
警察庁は2026年3月19日、「令和7年におけるストーカー事案、配偶者からの暴力事案等、児童虐待事案等への対応状況」を公表した。令和7年(2025年)のストーカー事案の相談等件数は22,881件で、前年より3,314件、16.9%増加した。配偶者からの暴力事案等の相談等件数は98,289件で、前年より3,352件、3.5%増加し、DV防止法施行後最多となった。児童虐待事案では、警察から児童相談所に通告した児童数が122,588人となり、前年から210人増加し、依然として高い水準で推移している。
ストーカー事案では、禁止命令等が3,037件に上り、法施行後最多となった。ストーカー規制法違反の検挙は1,546件、関連する刑法犯・他の特別法犯の検挙は2,171件で、いずれも法施行後最多とされている。つきまとい、待ち伏せ、面会要求、連続した連絡に加え、GPS機器や紛失防止タグを悪用した位置情報の把握など、被害の態様は多様化している。警察庁は、加害者による行為のエスカレートを防ぐため、ストーカー規制法等の適時的確な適用や、カウンセリング・治療機関につなぐ取組も進めている。
DV事案では、被害者の69.4%が女性、加害者の69.3%が男性であった一方、男性被害者も30,080件、30.6%を占めた。DVは身体的暴力に限らず、脅迫、精神的支配、経済的支配、別居後・離婚後の継続的な接触などを伴うことがある。相談件数が最多となったことは、被害が増えている可能性と、相談につながる人が増えている可能性の双方を示す。重要なのは、相談件数を単なる統計として見るのではなく、被害者が安全に避難し、生活を再建できる支援体制と結び付けることである。
児童虐待では、警察から児童相談所への通告児童数が12万人を超え、児童虐待事件の検挙件数も2,592件と高水準が続いた。虐待は、身体的虐待、性的虐待、ネグレクト、心理的虐待に分類されるが、家庭内で起きるため外部から見えにくく、子ども自身が被害を訴えられない場合も多い。特に、子どもの前で家族に暴力をふるう面前DVは心理的虐待に該当し、DV対応と児童虐待対応は切り離せない。警察、児童相談所、学校、医療機関、自治体福祉部門の連携が、早期発見と保護の鍵となる。
今回の統計は、DV、ストーカー、児童虐待がいずれも「家庭内」「交際関係」「親密な関係」の中で起こりやすく、被害者が逃げにくい構造を持つことを改めて示している。人権の観点からは、身体の安全、居住の安全、子どもの成長発達、プライバシー、自己決定を守るため、警察対応だけでなく、相談窓口、避難先、法的支援、加害者対策、生活再建支援を一体で整える必要がある。自治体や支援機関には、被害が深刻化してから対応するのではなく、相談しやすい窓口の周知と、危険度に応じた迅速な保護体制を整えることが求められる。
警察庁(ストーカー・DV等対策)
URL:https://www.npa.go.jp/news/release/2026/jinsyou2026.html

