島根県教委、不祥事防止事例集を全面改訂 性暴力・SNS対応を追加

この記事のポイント

1.島根県教育委員会が2025年3月、教職員向けの校内研修用事例集を全面改訂した。
2.児童生徒性暴力、SNSによる私的なやり取り、体罰、不適切な指導など11類型を扱う。
3.違反行為の処分だけでなく、被害児童生徒の保護、相談体制、組織的な予防策まで示した。

事例集

島根県教育委員会が公開している「不祥事防止のための校内研修用事例集―信頼される島根の教育を目指して―」について、令和6年度改訂版を紹介する。2004年8月に作成し、2011年3月に増補した事例集を全面的に見直したもので、服務規律に関する年間研修計画、教職員向けと管理職向けの自己点検、不祥事発生後の影響、類型別ワークシートなどを151ページにまとめている。

改訂版は、児童生徒性暴力等、わいせつ行為・セクシュアルハラスメント、SNS等による児童生徒との不適切なやり取り、体罰、公金の不正処理、個人情報漏えい、パワーハラスメント、交通違反、窃盗など11類型で構成する。各類型には通常版と短時間版のワークシートを用意し、事例の問題点、行政・刑事・民事上の責任、発生後の対応、予防のチェック項目、関係法令、類似事例を掲載した。通知を読み上げるだけでなく、具体的な状況を基に教職員同士が判断過程を検討する形式である。

全面改訂の背景には、2022年4月に施行された「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律」がある。島根県教育委員会は2023年12月に「教職員等による児童生徒性暴力等の根絶に向けて〈島根県教育委員会の総合対策〉」を策定し、2025年2月には「教職員の懲戒処分及び公表の指針」に不適切な指導やパワーハラスメントの処分基準を追加した。改訂版は、こうした法令と県の基準を校内研修へ落とし込む教材となる。

児童生徒性暴力への対応では、被害児童生徒への聞き取りを必要最小限にとどめ、詳細な聴取は教育委員会や警察と連携した司法面接で行うよう示した。加害教職員を被害者から直ちに引き離すこと、教育委員会への第一報、警察への通報、緊急カウンセラーの派遣要請も盛り込む。被害者のプライバシーに最大限配慮し、報道対応は本人の同意を前提とするなど、学校の信用回復より被害児童生徒の保護を先に置いた構成である。

予防策は教職員個人の倫理に限定していない。密室での1対1の指導を避け、空き教室などの死角を点検し、児童生徒への私的なメールやSNS連絡を禁止する。部活動などで継続的な連絡が必要な場合は、事前承認の手続を設ける。管理職用チェックリストでは、校内外の相談窓口の周知、悪い情報が速やかに届く職場づくり、指導困難な児童生徒を特定の教員だけに任せない体制も確認項目とした。

体罰の章では、殴る、蹴るといった有形力だけでなく、大声で怒鳴る、児童生徒の言い分を聞かずに指導する、面前で叱責して尊厳やプライバシーを損なう行為を「不適切な指導」の例として示した。不祥事防止を処分基準の周知だけで終わらせず、児童生徒が相談できる経路と、同僚が異変を止めて管理職へ報告できる仕組みを日常の学校運営に組み込めるかが問われる。島根県内の公立学校には、この151ページの事例集を年間研修計画と自己点検に具体的に反映する作業が残る。

出典

島根県教育委員会「不祥事防止のための校内研修用事例集」
URL:https://www.pref.shimane.lg.jp/gakkokikaku/kyosyokuinfukumu/fushojiboshi.html

人権ニュース編集部

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