ストーカー行為とは

ストーカー行為とは、特定の人に対する恋愛感情などの好意、またはそれが満たされなかったことへの恨みなどから、つきまとい、待ち伏せ、連続した連絡、監視、位置情報の無断取得などを繰り返す行為をいいます。被害者の身体の安全、生活の平穏、行動の自由を脅かす行為であり、単なる「しつこい連絡」や「恋愛上のもつれ」として軽く扱うべきものではありません。

1.ストーカー行為の意味

ストーカー行為は、相手の意思を無視して、接触や監視、要求、脅しに近い行動を繰り返すことです。つきまとい、待ち伏せ、住居や勤務先、学校の近くでの見張り、面会や交際の要求、乱暴な言動、無言電話、連続した電話・メール・SNSメッセージ、名誉を傷つける行為、性的羞恥心を害する行為などが含まれます。

現在では、スマートフォンやSNSを通じた被害も問題になります。相手のSNSを監視する、拒まれているのにメッセージを送り続ける、位置情報を無断で取得する、GPS機器などを使って行動を把握する、周囲の人から情報を得ようとする行為は、被害者の日常生活を大きく制限します。

ストーカー被害では、被害者が外出、通勤、通学、人間関係、SNSの利用を控えるようになることがあります。相手がどこに現れるかわからない、拒否すれば逆上されるかもしれないという不安は、生活の自由を奪います。被害は身体的な接触が起きてから始まるのではなく、監視や接触の繰り返しによってすでに深刻化している場合があります。

2.制度・法律との関係

ストーカー行為に関係する中心的な法律は、ストーカー行為等の規制等に関する法律です。一般にはストーカー規制法と呼ばれます。同法は、ストーカー行為等について必要な規制を行い、相手方への援助措置などを定めることで、身体、自由、名誉への危害を防ぎ、生活の安全と平穏を守ることを目的としています。

同法では、同一の者に対して「つきまとい等」または「位置情報無承諾取得等」を繰り返して行うことを、ストーカー行為として規制しています。警察は、被害者からの相談や申出に応じて、警告、禁止命令、援助、検挙などの対応を行います。被害の状況によっては、刑事事件として処罰の対象になることもあります。

2021年の法改正では、GPS機器等を用いた位置情報の無承諾取得等が規制対象に加えられました。デジタル機器やSNSの利用が広がる中で、物理的なつきまといだけでは把握しきれない監視型の被害にも制度上の対応が広がっています。

2025年12月30日施行の改正では、被害者への援助の主体に、被害者の勤務先や学校が追加されました。ストーカー被害は、自宅だけでなく、通勤先、通学先、職場、学校生活にも影響します。そのため、警察だけでなく、勤務先や学校が被害者の安全確保に協力する場面も想定されます。

3.人権上の論点

ストーカー行為の人権上の論点は、被害者の安全、自由、プライバシー、名誉、生活の平穏が侵害される点にあります。相手の意思を無視して接触や監視を続ける行為は、恋愛感情の表現ではなく、相手の生活を支配する行為です。

ストーカー被害は、女性だけに起きるものではありません。男性や性的少数者も被害者になり得ます。ただし、元交際相手や元配偶者から女性が被害を受ける事案では、DVや性暴力と連続する場合があります。交際中から支配的な関係があり、別れた後に監視、脅し、接触要求が激しくなることもあります。

被害者に対して「無視すればよい」「はっきり断ればよい」「相手を刺激しなければよい」といった対応を求めるだけでは、危険を見誤るおそれがあります。ストーカー行為では、拒絶がさらなる加害につながる場合もあるため、個人だけで対応させず、警察、相談機関、職場、学校、家族などが安全確保を優先して動く必要があります。

ストーカー行為への対応では、証拠の保存、連絡手段や位置情報設定の確認、通勤・通学経路の安全、勤務先や学校との連携、警察への相談を早い段階で検討することが大切です。被害者が日常生活を変えざるを得ない状況に追い込まれている場合、その負担を本人の自己防衛だけに押しつけず、周囲が被害の性質を理解することが求められます。

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