認定NPO法人ReBitは2026年3月15日、訪問看護事業を展開する株式会社N・フィールドの職員を対象に、LGBTQと医療・福祉に関する研修を実施した。N・フィールドは、精神疾患や障害のある人の地域生活を支える訪問看護サービスを担っており、研修では、利用者が性的指向や性自認にかかわらず、安心して支援を受けられる環境づくりがテーマとなった。
研修の前半では、性的指向と性自認を意味するSOGIの基礎知識や、LGBTQを取り巻く国内外の動向が共有された。特に、福祉現場におけるSOGIハラスメントが、状況によっては虐待やパワーハラスメントに該当し得るとの考え方が示されていることを踏まえ、現場職員がコンプライアンスの観点からも理解を深める必要性が確認された。医療・福祉サービスでは、利用者の身体、生活歴、家族関係、住環境などに職員が深く関わるため、無理解や不用意な言動が本人の尊厳や安心感を損なうリスクがある。
中盤では、LGBTQ当事者が医療・福祉を利用する際に直面する困難やハラスメントの実態について、調査データを踏まえた説明が行われた。病院や福祉施設、訪問看護の場面では、戸籍上の性別、通称名、パートナー関係、服薬、身体に関する説明など、本人にとって慎重な扱いを求める情報が多い。支援者側が「家族とは誰か」「本人をどう呼ぶか」「どこまで情報を共有してよいか」を確認しないまま対応すれば、アウティングや不適切な情報共有につながるおそれがある。
後半は、具体的な事例をもとにケース検討が行われた。性自認を尊重した関わり方、アウティング防止、他機関との連携、同性パートナーを家族として扱う運用、呼称や設備利用に関する配慮など、訪問看護の現場で実際に起こり得る課題について議論された。これらは特別な対応というより、利用者本人の意思を確認し、必要な情報を本人の同意に基づいて扱うという、支援の基本に関わる問題である。
人権の観点から見ると、今回の研修は、LGBTQ施策を企業や自治体の啓発にとどめず、医療・福祉の具体的な支援場面に落とし込む取組として意義がある。訪問看護は、利用者の生活空間に入る支援であるだけに、職員の言葉遣い、記録の扱い、関係機関との連携方法が、本人の安全や信頼関係に直結する。今後、医療・介護・福祉事業者には、個別研修の実施に加え、相談対応、記録様式、家族確認、苦情対応の手順を見直し、性的指向や性自認を理由とする不利益を生まない体制を整えることが求められる。
NPO法人ReBit
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