えせ同和行為とは

えせ同和行為とは、同和問題を口実にして、企業、行政機関、学校、個人などに対し、機関紙・図書の購入、寄附金、賛助金、広告掲載、契約など、不当な利益や義務のないことを求める行為を指します。差別解消の取組を装いながら、同和問題への誤解や不安につけ込む点に特徴があります。

1.えせ同和行為の意味

えせ同和行為は、同和問題の解決を目的とする正当な啓発活動や相談活動とは異なります。同和問題を理由に相手を威圧したり、「理解が足りない」などと迫ったりして、金銭や物品購入などを要求する行為です。

代表的な例としては、高額な図書や機関紙の購入を求める、寄附金や賛助金を要求する、広告掲載や契約を迫る、行政機関や企業の担当者に不当な対応を求める、といったものがあります。相手が同和問題に詳しくないことや、差別問題への対応を誤ることへの不安につけ込む形で行われます。

えせ同和行為は、行為そのものが問題です。特定の団体名や肩書を名乗っているかどうかだけで判断するのではなく、要求の内容が不当であるか、義務のないことを迫っていないかを確認する必要があります。

2.制度・法律との関係

えせ同和行為は、部落差別解消推進法が直接に定める差別行為そのものとは性質が異なります。しかし、同和問題への誤解を広げ、部落差別の解消を妨げる行為として、法務省や自治体の啓発資料で取り上げられてきました。

不当な要求の内容によっては、民事上の不法行為、業務妨害、恐喝、強要など、別の法的問題につながる場合があります。企業や行政機関では、担当者が一人で抱え込まず、組織として対応し、必要に応じて法務局、警察、弁護士などに相談することが実務上の基本となります。

一方で、えせ同和行為を理由に、同和問題そのものを避けたり、正当な啓発活動や人権相談を否定したりしてはなりません。えせ同和行為への対応と、部落差別の解消に向けた教育・啓発は、分けて考える必要があります。

3.人権上の論点

えせ同和行為の人権上の論点は、同和問題に対する誤った恐怖感や忌避意識を強める点にあります。不当な要求を受けた人や組織が、「同和問題は怖い」「関わらない方がよい」と受け止めると、部落差別について正しく学ぶ機会が失われます。

その結果、部落差別の被害を受けている人や、差別解消に取り組む団体・自治体の正当な活動まで、疑いや警戒の対象にされるおそれがあります。これは、差別の解消に向けた教育、啓発、相談支援の妨げになります。

えせ同和行為に対応する際には、不当な要求には応じないという姿勢と、同和問題を正しく理解する姿勢を両立させる必要があります。企業、行政機関、学校が研修でこの用語を扱う場合も、「不当要求への対応」にとどめず、なぜ同和問題への無理解が不当要求につけ込まれる土壌になるのかまで説明することが必要です。

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