外国人労働者とは、日本国籍を持たず、日本国内で働く人を指す一般的な言葉です。就労できる在留資格を持つ人、身分に基づく在留資格で働く人、留学生の資格外活動として働く人、技能実習や特定技能で働く人など、法的地位や働き方は一様ではありません。人手不足への対応として受入れが広がる一方で、賃金、労働時間、安全衛生、ハラスメント、転職の制約、日本語支援、地域での孤立など、人権上の課題も指摘されています。
1.外国人労働者の意味
外国人労働者という言葉は、日本で働く外国籍の人を広く指します。ただし、ひとくくりにできる存在ではありません。専門的・技術的分野の在留資格で働く人、永住者や日本人の配偶者等として働く人、技能実習生、特定技能外国人、留学生のアルバイト、定住者、家族滞在の資格外活動など、在留資格によって働ける範囲や生活条件が異なります。
外国人労働者は、製造、建設、介護、農業、宿泊、外食、物流、情報通信、教育、医療、研究など、幅広い分野で働いています。企業や地域にとっては、労働力の確保、事業継続、多文化化への対応と関わる存在です。一方で、本人にとっては、在留資格、雇用契約、住居、医療、家族帯同、日本語、生活情報へのアクセスが密接に結び付いています。
外国人労働者の問題を考える際には、「外国人を受け入れるかどうか」という抽象的な議論だけでは不十分です。実際には、同じ職場で働く労働者として、労働条件が適正か、安全に働けるか、相談できる窓口があるか、差別やハラスメントを受けていないか、地域で生活できる環境があるかが問われます。
2.制度・法律との関係
外国人労働者に関係する主な制度として、入管法上の在留資格制度、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労働契約法、労働施策総合推進法、職業安定法、雇用保険制度、社会保険制度などがあります。外国人であっても、日本国内で労働者として働く場合には、原則として日本の労働関係法令が適用されます。
事業主は、外国人を雇用する際、在留カードなどにより在留資格や就労の可否を確認する必要があります。就労できない在留資格の人を働かせたり、認められた範囲を超えて働かせたりすれば、不法就労助長の問題が生じます。外国人を雇い入れた場合や離職した場合には、外国人雇用状況の届出も必要になります。
技能実習制度、特定技能制度、育成就労制度は、外国人労働者をめぐる代表的な制度です。技能実習制度は、国際貢献を掲げて運用されてきましたが、転籍の制約や労働条件、監理団体、送出し機関、失踪問題などが課題とされてきました。特定技能制度は、人手不足分野で一定の技能を持つ外国人を受け入れる制度です。育成就労制度は、技能実習制度を見直し、人材の育成と確保を目的とする制度として創設されます。
外国人労働者の制度は、雇用政策だけでなく、出入国在留管理政策、産業政策、地域共生政策、人権政策が重なる領域です。企業は労働法令を守るだけでなく、言語、文化、宗教、生活習慣の違いを踏まえた雇用管理を行う必要があります。
3.人権上の論点
外国人労働者の人権上の中心課題は、国籍や在留資格の違いによって、労働者としての権利が弱く扱われないようにすることです。賃金不払い、長時間労働、安全対策の不足、労働災害、パスポートの取り上げ、違約金、退職や転職の妨害、ハラスメントなどは、外国人労働者の尊厳と生活を損なう問題です。
特に、在留資格が雇用先と強く結び付いている場合、労働者は不利益を受けても声を上げにくくなります。解雇や退職が在留資格の不安につながる場合、賃金や労働条件に問題があっても相談をためらうことがあります。制度上の地位が不安定な人ほど、労働者としての権利を行使しにくくなる点が重要です。
言語の壁も大きな論点です。雇用契約書、安全衛生教育、就業規則、相談窓口、労働災害の手続、社会保険、税金、医療、住居に関する情報が理解できなければ、制度はあっても実際には利用できません。やさしい日本語や多言語対応は、単なる利便性ではなく、権利にアクセスするための基盤になります。
差別や排除も見落とせません。外国人労働者は、職場での偏見、住居の入居拒否、地域での孤立、子どもの教育、医療機関での意思疎通など、労働以外の場面でも困難に直面することがあります。本人だけでなく、家族を含めた生活者として見る必要があります。
人権の視点からは、外国人労働者を単に「人手不足を補う人材」として扱うのではなく、同じ職場と地域で生活する権利主体として扱うことが必要です。入管法、労働法、社会保障、多文化共生、ビジネスと人権をつなげて見ることで、外国人労働者をめぐる制度と課題が整理できます。