在留特別許可とは

在留特別許可とは、退去強制の対象となる外国人について、個別の事情を考慮し、法務大臣が特別に日本での在留を認める制度です。不法残留や退去強制事由に該当する場合でも、日本での家族生活、子どもの養育、健康状態、人道上の事情、難民認定や補完的保護との関係などを踏まえ、在留を認めるべき特別な事情があるかが判断されます。令和5年改正入管法により、在留特別許可の申請手続が創設され、考慮事情も法律上明確化されました。

1.在留特別許可の意味

在留特別許可は、退去強制手続の中で、外国人に日本での在留を特別に認める制度です。入管法上、退去強制事由に該当する場合には、原則として日本から退去する対象となります。しかし、すべての事案を一律に送還すれば、家族生活、子どもの生活基盤、健康、人道上の事情に深刻な影響が生じる場合があります。

このような個別事情を考慮し、法務大臣が特別に在留を認めるのが在留特別許可です。たとえば、日本に長く生活している人、日本人や永住者などとの家族関係がある人、日本で出生・成育した子どもを養育している人、帰国が著しく困難な事情を抱える人などが問題になります。

ただし、在留特別許可は、申請すれば当然に認められる制度ではありません。退去強制事由に該当する事情、在留を希望する理由、日本での生活状況、家族関係、素行、違反の内容、出国できない事情などを総合的に見て判断されます。

在留特別許可を受けた場合には、日本に在留するための在留資格が与えられます。これにより、仮放免とは異なり、生活、就労、医療、教育、住居などの面で法的地位が安定する可能性があります。

2.制度・法律との関係

在留特別許可は、出入国管理及び難民認定法、いわゆる入管法に基づく制度です。退去強制手続の中で、法務大臣が、退去強制対象者について特別に在留を許可すべき事情があるかを判断します。

令和5年改正入管法では、在留特別許可の申請手続が創設されました。従来から在留特別許可の制度はありましたが、改正により、本人からの申請により判断を求める手続が明確化されました。あわせて、在留特別許可の判断に当たって考慮する事情も法律上示され、在留特別許可がされなかった場合には理由が通知されることになりました。

制度上、在留特別許可は、退去強制手続、仮放免、監理措置、難民認定制度、補完的保護対象者認定制度、ノン・ルフールマン原則と関係します。退去強制の対象となっている人の中には、難民認定申請中の人、補完的保護を求める人、家族が日本で暮らしている人、子どもの生活基盤が日本にある人もいます。

在留特別許可の判断では、在留を希望する積極的な事情だけでなく、退去強制事由に該当した経緯や、法令違反の内容なども考慮されます。したがって、単に「長く日本にいる」というだけで結論が決まるわけではありません。家族関係、扶養状況、子どもの教育、地域での生活、健康状態、帰国した場合の影響などを、具体的な資料に基づいて示すことが重要になります。

3.人権上の論点

在留特別許可の人権上の論点は、国家の在留管理と、個人の生活・家族・子どもの利益をどう調整するかにあります。国には外国人の入国・在留を管理する権限がありますが、退去を命じる判断は、人の生活基盤を大きく変える強い効果を持ちます。

特に重要なのは、家族生活への影響です。日本で配偶者や子どもと暮らしている人が退去を命じられれば、家族が分離される可能性があります。子どもが日本で生まれ育ち、日本語で教育を受け、地域や学校に生活基盤を持っている場合、親の在留資格の問題が子どもの生活に直接影響します。

この点では、子どもの最善の利益も論点になります。子ども自身は入管法違反をしたわけではない場合でも、親の退去により、生活環境、教育、友人関係、医療、言語環境が大きく変わることがあります。在留特別許可の判断では、親の事情だけでなく、子どもを一人の権利主体として見ることが必要です。

健康状態や人道上の事情も重要です。重い病気がある人、障害のある人、帰国先で必要な医療を受けられないおそれがある人、家族による介護や支援を受けている人については、退去によって生命や健康に深刻な影響が及ぶ場合があります。

在留特別許可は、入管法上の例外的な許可である一方、実際には人の生活再建、家族統合、子どもの利益、医療へのアクセスに関わる制度です。人権の視点からは、許可・不許可の結論だけでなく、判断過程の透明性、理由の説明、資料提出の機会、通訳や支援へのアクセスが問われます。

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