難民認定制度とは

難民認定制度とは、迫害を受けるおそれがあるために自国へ帰ることができない外国人について、日本政府が難民に該当するかどうかを審査し、認定する制度です。日本では、出入国管理及び難民認定法に基づき、法務大臣が難民認定を行います。難民条約上の難民に該当するかどうかに加え、近年は、難民には当たらないものの保護を必要とする人を対象とする補完的保護対象者認定制度も関係します。

1.難民認定制度の意味

難民認定制度は、日本にいる外国人が「自分は難民に当たる」として申請し、日本政府がその該当性を判断する仕組みです。

難民とは、一般的な意味での「戦争や貧困から逃れてきた人」だけを指す言葉ではありません。難民条約では、人種、宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員であること、政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあり、国籍国の外にいて、その国の保護を受けられない人などを難民としています。

そのため、難民認定では、申請者がどこの国から来たかだけでなく、どのような理由で迫害を受けるおそれがあるのか、帰国した場合にどのような危険があるのか、その危険が個別具体的に認められるのかが審査されます。

難民認定を受けると、日本での在留に関する保護を受けることができます。単に「滞在を許される」というだけでなく、迫害を受けるおそれのある国へ送還されないこと、安定した在留資格を得ること、生活再建に必要な支援につながることが重要になります。

一方で、難民認定申請中の人は、まだ認定を受けていない状態にあります。この段階でも、帰国すれば迫害を受ける可能性がある人を保護から排除しないよう、手続の公正さと慎重な判断が問題になります。

2.制度・法律との関係

日本の難民認定制度は、出入国管理及び難民認定法、いわゆる入管法に基づいています。申請は、地方出入国在留管理局などで行われ、難民調査官による調査を経て、法務大臣が認定するかどうかを判断します。

難民と認定されなかった場合でも、不認定処分に対して不服申立てを行うことができます。手続では、申請者が自分の経験、迫害のおそれ、出身国の状況、家族関係、政治的・宗教的背景などを説明し、それを裏付ける資料を提出することが重要になります。ただし、迫害から逃れてきた人が十分な資料を持っていない場合もあり、本人の供述や出身国情報の評価が大きな意味を持ちます。

令和5年改正の入管法では、補完的保護対象者認定制度が設けられました。これは、難民条約上の難民には該当しないものの、紛争や重大な危険などにより、難民に準じて保護すべき外国人を対象とする制度です。難民認定申請をした人については、難民該当性だけでなく、補完的保護対象者に当たるかどうかも判断されます。

難民認定制度は、難民条約、難民議定書、ノン・ルフールマン原則、国際人権規約、拷問等禁止条約などとも関係します。特にノン・ルフールマン原則は、迫害や重大な危険を受けるおそれのある国へ人を送還してはならないという考え方で、難民保護の中心にあります。

この制度は、入国管理の一部であると同時に、国際的な保護を必要とする人をどう扱うかという人権制度でもあります。したがって、在留資格の管理、退去強制、収容、仮放免、在留特別許可などの制度とも密接に関わります。

3.人権上の論点

難民認定制度の人権上の中心課題は、迫害を受けるおそれのある人を、危険な国へ送還しないことです。申請者が難民に当たるかどうかの判断を誤れば、生命、身体、自由が脅かされる場所へ戻されるおそれがあります。

難民申請者は、言語、文化、法律知識、生活基盤の面で不安定な立場に置かれることがあります。申請手続を理解できない、通訳が十分でない、出身国での被害を証明する資料を持っていない、収容や生活困窮により十分に準備できない、といった問題が生じる場合があります。制度の公正さは、申請書類の形式だけでなく、申請者が自分の事情を適切に説明できる環境があるかによっても左右されます。

難民認定制度では、国境管理と人権保護の緊張関係が表れます。国は、誰を入国・在留させるかを管理する権限を持ちます。一方で、迫害や重大な危険から逃れてきた人については、単に在留資格の有無だけで扱うことはできません。保護を必要とする人かどうかを、個別の事情に即して判断する必要があります。

もう一つの論点は、難民や難民申請者への社会的な見方です。難民申請をしている人を一律に「不法滞在者」や「制度の乱用者」とみなす言説は、保護を必要とする人を相談や申請から遠ざけるおそれがあります。難民認定制度は、制度の適正な運用と同時に、申請者を人として扱い、生活、医療、教育、家族関係への影響を見落とさないことが問われる分野です。

人権の視点からは、難民認定制度を「外国人を受け入れるかどうか」の問題だけでなく、迫害を受けるおそれのある人を危険から守るための制度として理解する必要があります。難民条約、入管法、補完的保護対象者認定制度、ノン・ルフールマン原則をあわせて見ることで、日本の難民保護の仕組みと課題が見えてきます。

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