女子差別撤廃条約とは

女子差別撤廃条約とは、女性に対するあらゆる形態の差別を撤廃し、男女の完全な平等を実現するための国際条約を指す言葉です。人権ニュースでは、制度、判例、行政施策、地域の啓発活動などを理解するうえで重要な用語として扱います。

1.女子差別撤廃条約の意味

女子差別撤廃条約の正式名称は、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約です。英語名はConvention on the Elimination of All Forms of Discrimination against Womenで、CEDAWと略されます。

この条約は、女性に対する差別を、性に基づく区別、排除または制限であって、女性が男女の平等を基礎として人権や基本的自由を認識し、享有し、行使することを害し、または無効にするものとして整理しています。

女子差別撤廃条約は、政治、経済、社会、文化、教育、雇用、家族関係など、幅広い分野で女性差別をなくすことを求めています。単に法律上の男女平等を掲げるだけでなく、社会の慣行、固定的な性別役割分担、家庭内や職場での不平等を含めて、実質的な平等を実現することを重視しています。

2.制度・法律との関係

女子差別撤廃条約は、1979年12月18日に国連総会で採択され、1981年9月3日に発効しました。日本は1985年に締結しています。日本が条約を締結するにあたっては、国籍法の改正、男女雇用機会均等法の制定、家庭科教育の男女共修化などが行われました。

条約は、締約国に対し、女性に対する差別を撤廃するため、憲法、法律、政策、行政、教育、雇用、政治参加、保健、家族関係などの分野で適切な措置を取ることを求めています。女子差別撤廃委員会は、締約国から提出される報告書を審査し、条約の実施状況について総括所見を示します。

女子差別撤廃条約は、日本国内では、男女雇用機会均等法、女性活躍推進法、配偶者暴力防止法、育児・介護休業法、男女共同参画社会基本法、ハラスメント防止施策、政治分野における男女共同参画、教育政策などと関係します。自治体の男女共同参画計画や企業のジェンダー平等施策を考えるうえでも、重要な国際基準になります。

また、女子差別撤廃条約には選択議定書があります。選択議定書は、個人通報制度や調査制度を定めるものですが、日本はこれを批准していません。この点は、日本における国際人権保障の実効性を考えるうえで、長く議論されている論点です。

3.人権上の論点

女子差別撤廃条約の人権上の論点は、女性差別を個別の不利益取扱いだけでなく、社会構造や慣行の問題として捉える点にあります。採用、昇進、賃金、政治参加、教育、家事・育児・介護の負担、暴力、性的被害、健康、家族関係など、女性の権利は生活の多くの場面で影響を受けます。

特に重要なのは、形式的な平等と実質的な平等を区別することです。法律上は男女同じ制度があっても、長時間労働を前提とした職場慣行、固定的な性別役割分担、女性へのケア責任の偏り、妊娠・出産を理由とする不利益、政治や意思決定の場での女性の少なさがあれば、実際の機会は平等になりません。

女子差別撤廃条約は、差別的な法律をなくすだけでなく、差別を生む慣習や社会的・文化的な行動様式の見直しも求めています。そのため、男女共同参画、女性活躍、DV対策、セクシュアルハラスメント防止、リプロダクティブ・ヘルス、教育、メディア表現など、幅広い政策分野と接続します。

女子差別撤廃条約を理解する際には、女性だけに関わる特別な条約としてではなく、性別に基づく不平等を是正し、すべての人が尊厳を持って社会に参加するための国際的な基準として読む必要があります。人権ニュースで国内の制度改正、自治体の男女共同参画施策、企業の女性活躍推進を扱う際にも、同条約は基本的な参照軸になります。

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