広島県、ジェンダー視点の表現ガイドラインを公開

広島県は、県が発信する広報物等について、性別に関する固定観念に基づいた表現とならないよう、「ジェンダー」の視点から考える表現のガイドラインを公開している。県は、「わたしらしい生き方応援プランひろしま」(第5次広島県男女共同参画基本計画)において、県の広報が性別によって偏った表現とならないよう、男女共同参画の視点に配慮した広報の実効性を高めることとしている。今回のガイドラインは、行政広報の表現を点検し、県民や事業者にも活用を促す資料として位置付けられている。

ガイドラインでは、表現上の注意点として、イベント等の登壇者や役割に性別の偏りがないか、家庭や職業において性別による固定的な役割分担意識を強調していないか、女性と男性が対等な立場で描かれているか、人物の外見や性的側面を安易に強調していないかといった観点を示している。また、言葉の表現についても、性別で必要以上に区別していないかを確認するよう促している。広報物やチラシ、ホームページ、イベント案内は、行政や事業者が意図しない形で社会の固定観念を再生産することがあるため、表現の点検は男女共同参画を進める実務上の基礎となる。

人権の観点から見ると、ジェンダーバイアスは、明確な差別表現だけでなく、日常的で何気ない表現の中にも現れる。例えば、管理職を男性、補助的役割を女性として描く表現、家事・育児を女性の役割として当然視する表現、女性の外見や性的側面を広報上の注目要素として扱う表現は、受け手に固定的なイメージを与えやすい。こうした表現は、職業選択、家庭内役割、地域活動、政治参加などにおける男女の不均衡を見えにくい形で支える要因にもなり得る。

一方で、同ガイドラインは、特定の表現を一律に禁止するものではなく、ジェンダー平等の視点からより良い表現を考える手がかりを示すものとして整理されている。この点は重要である。表現の見直しは、単なる言葉狩りではなく、誰がどのように描かれ、誰が不可視化されているのかを確認する作業である。地方公共団体、学校、企業、地域団体が広報物を作成する際に、登場人物の配置、役割、言葉遣い、写真・イラストの選び方を点検することは、性別にかかわりなく個性と能力を発揮できる社会づくりにつながる。

広島県の取組は、男女共同参画施策を制度や計画だけにとどめず、日々の情報発信の中に落とし込むものといえる。行政広報は、多くの住民が目にする公共性の高い表現であり、その内容は地域社会の価値観にも影響を与える。今後は、県庁内での活用に加え、市町、教育機関、企業、民間団体にも広がることで、広報表現を通じたジェンダー平等の実践が進むかが焦点となる。

広島県ジェンダー表現のガイドライン
出典

広島県「『ジェンダー』の視点から考える 表現のガイドライン」
URL:https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/42/jender-guideline.html

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