和歌山県、幼児向け人権プログラムの出張講座を実施

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和歌山県と公益財団法人和歌山県人権啓発センターは、幼児向け人権啓発プログラム「みんな、たいせつ『人権感覚を育てよう』プログラム」の出張講座を実施する。講師養成セミナーを修了したファシリテーターが県内の幼稚園、保育所、認定こども園、その他未就学児の施設等を訪問し、3~5歳児を対象に、遊びやコミュニケーションを通じて人権感覚を育むワークを行う。訪問期間は2026年9月から2027年2月までで、実施先は5か所程度とされている。

同プログラムは、幼児期から「自分も他者も大切な存在である」と感じられる経験を重視する取組である。人権教育は、小中学校以降に制度や差別問題を知識として学ぶだけではなく、幼児期の保育や家庭での関わりの中にも基礎がある。3~5歳は、感情表現や他者との関係性が大きく育つ時期であり、言葉による説明だけでなく、遊び、絵本、対話、身体表現などを通じて、相手を大切にする感覚を育てることが重要となる。

出張講座の意義は、こども本人への働きかけに加え、訪問先の教諭、保育士、保護者等が、日常の保育や家庭で人権感覚を育む手法に触れられる点にある。人権課題は、差別や偏見が明確な言動として現れる前に、からかい、仲間外れ、違いへの否定、性別役割に関する固定観念など、日常の小さな関係性の中で芽生えることがある。幼児期から、自分の気持ちを安心して表せる経験や、友だちの思いを受け止める経験を重ねることは、いじめや排除を防ぐ教育的基盤にもつながる。

保育・幼児教育の現場では、障害の有無、家庭環境、国籍や文化的背景、発達の違いなど、多様な事情を持つこどもや保護者と日常的に関わる。人権啓発を抽象的な理念にとどめず、園児同士の関係づくり、保育者の声かけ、保護者対応、施設内の相談しやすい雰囲気づくりに反映させることが求められる。今回の出張講座は、外部のファシリテーターが現場に入り、施設側が自らの保育実践を人権尊重の視点から見直す機会にもなる。

人権の観点からは、幼児期の取組を「教え込む」ものとしてではなく、安心して遊び、話し、違いを認め合う経験として設計することが重要である。こどもが否定されずに受け止められる環境があってこそ、人権感覚は育つ。和歌山県の出張講座は、学校教育に入る前の段階から、こどもの権利と尊厳を地域全体で支える実践として、保育施設や家庭に人権教育の入口を広げる取組といえる。

出典

和歌山県「みんな、たいせつ『人権感覚を育てよう』プログラム出張講座を開催します!」
URL:http://wave.pref.wakayama.lg.jp/news/kensei/shiryo.php?sid=44735

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