葛飾区が認知症と人権の記念講演会 「認知症世界の歩き方」著者・筧裕介氏が登壇

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この記事のポイント

1.葛飾区が12月5日、人権週間記念講演会を開催し、『認知症世界の歩き方』著者の筧裕介氏が登壇する。
2.2024年施行の認知症基本法が掲げる本人の尊厳、意思決定、社会参加と、日常生活にある障壁の関係を解説する。
3.講演会は参加無料・先着150人で、手話通訳、要約筆記、磁気ループ、託児を用意し、11月10日から申込みを受け付ける。

特定非営利活動法人イシュープラスデザイン代表、書籍「認知症世界の歩き方」著者

12月5日にウィメンズパルで開催

東京都葛飾区は2026年12月5日午後2時から4時まで、区立ウィメンズパル(立石5丁目27番1号)で「令和8年度人権週間記念講演会」を開催する。講師は、NPO法人イシュープラスデザイン代表で、書籍『認知症世界の歩き方』の著者として知られる筧裕介氏。認知症への理解を深め、誰もが自分らしく、安心して暮らし続けられる地域について考える。

講演会は区民以外も含め、誰でも参加できる。定員は150人で先着順。参加費は無料となっている。会場では手話通訳、要約筆記、磁気ループを用意するほか、1歳以上の未就学児を対象とした託児も実施する。

葛飾区の人権週間記念講演会は、12月4日から10日までの全国の「人権週間」に合わせて開催される。2025年度には、ひきこもりの当事者や家族が抱える悩みと周囲の関わり方を主題としていた。2026年度は認知症を取り上げ、本人の経験や生活環境への理解を深める機会とする。

講師・筧裕介氏と『認知症世界の歩き方』

筧裕介氏は、社会課題をデザインの手法で解決するNPO法人イシュープラスデザインの代表を務めるデザイナーである。一橋大学社会学部を卒業し、東京大学大学院工学系研究科を修了。2008年にソーシャルデザインプロジェクト「issue+design」を設立し、医療、福祉、教育、地域づくりなどの分野で活動してきた。

筧氏が関わる「認知症未来共創ハブ」では、認知症のある人の経験や生活上の困りごとを調べ、商品やサービス、社会環境の改善につなげる研究と実践を行っている。

その成果を一般読者にも伝える書籍が、2021年刊行の『認知症世界の歩き方』である。認知症のある人が日常生活で経験する戸惑いや困難を、旅先で遭遇する出来事になぞらえ、理解しやすく表現している。

例えば、道に迷うことや、店での支払いに戸惑うことを、本人の能力の問題としてだけ捉えるのではなく、案内表示やサービスの仕組みが利用しやすいものになっているかという問いにつなげる。

今回の講演会は、こうした筧氏の活動を知り、認知症のある人と地域社会との関係を考える機会となる。

認知症基本法が重視する「本人の意思」

認知症と人権の関係を理解するうえで基本となるのが、2024年1月1日に施行された「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」である。

この法律は、認知症の人が尊厳を保持しながら希望を持って暮らせる社会を目指し、国や地方公共団体などが進める施策の基本理念を定めている。

その特徴は、認知症の人を医療や介護の支援を受ける存在としてだけでなく、自ら意思を持ち、生活を選択し、地域社会に参加する権利の主体として捉えていることにある。

法律の基本理念には、認知症の人が自らの意思によって日常生活や社会生活を営むこと、本人に関係する事項について意見を表明する機会を確保すること、生活上の障壁を取り除くことなどが盛り込まれている。

2024年12月3日には、政府が同法に基づく「認知症施策推進基本計画」を閣議決定した。国の施策は、医療や介護の提供だけでなく、本人の社会参加、意思決定支援、地域生活を支える環境づくりなどにも及んでいる。

「意思決定支援」と「生活上の障壁」

認知症のある人を支える際の重要な考え方に「意思決定支援」がある。

これは、本人に代わって家族や支援者がすべてを決めることではない。説明の仕方や選択肢の示し方を工夫し、本人が何を希望しているのかをできる限り確認して、納得できる選択につなげる支援を指す。

認知機能に変化が生じても、本人の希望や価値観がなくなるわけではない。どこで暮らしたいか、どこへ出かけたいか、誰と会いたいかといった生活上の意思を尊重することは、認知症基本法の理念ともつながる。

もう一つの論点が、生活環境によって生じる障壁である。複雑な手続、分かりにくい案内表示、急いで判断することを前提としたサービスなどは、認知症のある人にとって利用上の困難となる場合がある。

同じ場面でも、説明を短く区切る、分かりやすい表示を用意する、本人が考えるための時間を確保するといった工夫によって、利用しやすさが変わる可能性がある。

『認知症世界の歩き方』が示す考え方は、認知症の特性を知ることに加え、本人が利用する商品やサービスの側にも目を向けるものである。

手話通訳や託児を用意し、参加機会を確保

今回の講演会では、参加者が情報を得やすいよう複数の方法を用意している。

手話通訳は、日本語の音声による説明を手話で伝える支援である。要約筆記は、話されている内容を文字にして伝える方法を指す。磁気ループは、対応する補聴器などを使用する人が、周囲の雑音の影響を抑えて音声を聞き取りやすくするための設備である。

こうした情報保障に加え、葛飾区は1歳以上の未就学児を対象に、先着6人の託児を受け付ける。子育て中の人が講演会に参加する際の選択肢となる。

申込みは11月10日午前8時から開始する。はなしょうぶコールへの電話・ファクス、または区のオンライン申請を利用できる。申込締切は12月4日午後1時だが、定員に達した場合は早く受付が終了する可能性がある。託児の申込締切は11月25日午前10時となっている。

認知症基本法が掲げる共生社会を考える際には、認知症のある人の生活だけでなく、地域住民が学び、意見を交わす機会へのアクセスも関係する。葛飾区は今回の人権週間記念講演会を通じ、筧裕介氏の講演から認知症への理解を深める場を設ける。

参加申込・開催概要

項目内容
開催日2026年12月5日(土)
時間14:00~16:00(13:30開場)
会場ウィメンズパル1階・多目的ホール(葛飾区立石5-27-1)
講師筧裕介氏
対象誰でも参加可能
定員150人・先着順
参加費無料
受付開始11月10日(火)8:00
申込締切12月4日(金)13:00
託児1歳以上の未就学児・先着6人。11月25日10:00締切
情報保障手話通訳、要約筆記、磁気ループ

申込み・問い合わせ:はなしょうぶコール(03-6758-2222、8:00~20:00)。ファクスは03-6758-2223。

出典

葛飾区「令和8年度 人権週間記念講演会」
URL:https://www2.city.katsushika.lg.jp/event/1000108/1042979.html

葛飾区「令和7年度 人権週間記念講演会」
URL:https://www.city.katsushika.lg.jp/event/1000108/1040206.html

認知症未来共創ハブ「運営体制・筧裕介氏プロフィール」
URL:https://designing-for-dementia.jp/management/

厚生労働省「認知症施策」
URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/ninchi/index.html

e-Gov法令検索「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」
URL:https://laws.e-gov.go.jp/law/505AC1000000065

経済産業省「認知症政策」
URL:https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/dementia/dementia.html

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人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、裁判所、企業、公益団体、国際機関などが公表する一次情報を確認し、差別、子ども、障害者、高齢者、教育、福祉、司法・制度、外国人、ビジネスと人権などに関するニュース、制度解説、独自調査を発信しています。記事では出典を明示し、事実関係を確認したうえで、関連する法制度や統計、過去の経緯などを参照しながら、人権上の論点や社会的背景を整理しています。

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