1.愛知県は11月1日から7日まで、県庁本庁舎を児童虐待防止のシンボルカラーであるオレンジ色にライトアップする。
2.名古屋市役所本庁舎でも同時に実施し、児童虐待問題への理解を促す。
3.啓発の実効性を考えるうえでは、虐待を疑った場合の通告方法や、こどもの安全確保につながる支援体制の周知が課題となる。

愛知県庁と名古屋市役所で同時点灯
愛知県は2026年11月1日から7日まで、県庁本庁舎をオレンジ色にライトアップする。点灯時間は各日午後5時から10時まで。名古屋市役所本庁舎でも同時に実施し、児童虐待防止への理解を広げる。こども家庭庁が11月に実施する「オレンジリボン・児童虐待防止推進キャンペーン」に合わせたもので、児童虐待防止のシンボルマークであるオレンジリボンの色を使用する。愛知県によると、今回のライトアップは中広グループが呼びかける「にっぽんオレンジシンボル運動」に応じた取組で、2023年度から継続している。
虐待の早期発見と相談・通告制度
児童虐待防止法は、身体的虐待、性的虐待、ネグレクト、心理的虐待の4類型を定めている。身体に目立った傷がない場合でも、養育の放棄や心理的な暴力などによって、こどもの生活や発達に深刻な影響が及ぶことがある。
虐待を受けたと思われるこどもを発見した人には、児童相談所などへの通告義務がある。通告は虐待の事実を確定させる行為ではなく、専門機関が必要な調査や安全確認を行うための入口となる。児童相談所虐待対応ダイヤル「189」は全国共通の窓口で、虐待かどうか判断できない段階でも相談することができる。
一方、通告件数の増減をそのまま虐待の発生件数の増減とみなすことはできない。周知によって相談しやすくなれば、それまで表面化していなかった事案が把握される可能性もある。制度の実態を評価する際には、相談・通告の状況と安全確認、保護、家庭支援などを区別して確認する必要がある。
こどもの保護と家庭支援の両立
虐待防止の取組では、危険にさらされているこどもの安全確保が優先される。同時に、養育上の困難を抱える家庭に対して、必要な福祉サービスや相談支援を提供することも予防的な施策に含まれる。
保護者の生活困窮や孤立、心身の不調などは支援上の課題となり得るが、こうした事情があることだけで虐待が発生していると判断できるわけではない。家庭への偏見を防ぎながら、虐待が疑われる状況には適切に対応するという、異なる二つの要請を両立させる必要がある。
2022年の児童福祉法改正を受けて2024年4月から進められている「こども家庭センター」は、母子保健と児童福祉の相談支援を一体的に行うための仕組みである。児童虐待の防止では、相談や通告を受け付けることに加え、子育て家庭の状況に応じた支援を継続する行政体制も関係する。
啓発の成果をどう検証するか
ライトアップは広く問題への関心を促す手段であるが、その実施だけで虐待の防止や早期発見の成果が確認されたわけではない。啓発活動の効果を検討するには、相談先の認知状況、制度を利用する際の障壁、地域の支援機関との連携などを別途把握する必要がある。
愛知県は2023年度からライトアップを継続しており、名古屋市役所と同時に点灯することで地域に向けた情報発信を行う。今後は、こうした啓発活動と、愛知県や名古屋市が実施する児童虐待相談・支援事業との接続を整理することが、継続的な取組の成果を判断する材料となる。
愛知県「オレンジリボン・児童虐待防止推進キャンペーン(11月)の取組として愛知県庁本庁舎をライトアップします」
URL:https://www.pref.aichi.jp/press-release/gyakutaiboushi-20261019-illumination.html
児童虐待防止法
URL:https://jinken-news.com/glossary/jidou-gyakutai-boshi-hou/
児童虐待
URL:https://jinken-news.com/glossary/child-abuse/
児童相談所虐待対応ダイヤル189
URL:https://jinken-news.com/glossary/child-abuse-hotline-189/

.jpg)