1.千代田区は11月6日、養育家庭体験発表会と児童虐待防止講演会を開催する。
2.第1部では里親制度と実際の養育経験を紹介し、第2部では犯罪心理学者の出口保行氏が子どもの安全について解説する。
3.参加無料、定員100人程度。11月2日まで申し込みを受け付け、子育てや地域の見守りに関心のある人が参加できる。

里親制度と子どもの安全を学ぶ講演会
東京都千代田区は2026年11月6日、いきいきプラザ一番町のカスケードホールで「子どもが犯罪に巻き込まれないために大人ができること~養育家庭体験発表会&児童虐待防止講演会~」を開催する。千代田区と東京都児童相談センターフォスタリング機関二葉乳児院の共催で、里親制度の紹介と、犯罪心理学に基づく子どもの安全についての講演を組み合わせた催しとなる。
開催時間は午後2時から4時30分までで、午後1時30分に開場する。参加費は無料で、子育てに関心のある人などを対象に、100人程度を先着順で受け付ける。
第1部では養育家庭の体験発表、第2部では東京未来大学副学長兼こども心理学部長の出口保行氏による講演を行う。
第1部で里親制度と実際の養育経験を紹介
第1部の養育家庭体験発表会では、東京都が里親制度について説明し、実際に里親として子どもを育てている人が自身の経験を紹介する。
養育家庭とは、様々な事情によって実の親と一緒に暮らすことができない子どもを、一定期間、家庭に迎えて養育する東京都の里親制度の一つである。
里親制度は児童福祉法に基づく制度で、保護者の病気、養育上の困難、虐待など、様々な事情により家庭での生活が難しい子どもを支える仕組みとなっている。
子どもが安心して生活し、成長できる環境を確保することは、児童福祉における基本的な課題である。
里親制度では、子どもを家庭に迎えることだけでなく、養育する家庭への相談支援や、子ども自身の状況に応じた支援も行われる。
養育家庭と特別養子縁組の違い
養育家庭は、特別養子縁組とは異なる制度である。
特別養子縁組は、家庭裁判所の審判など所定の手続きを経て、養親と子どもの間に法律上の親子関係を成立させる制度である。
これに対し、養育家庭は、子どもを一定期間家庭で養育する仕組みであり、通常、里親と子どもの間に法律上の親子関係は成立しない。
この違いは、里親制度に関心を持つ人にとって理解しておきたい点の一つである。
子どもを家庭に迎えるという共通点はあるものの、制度の目的、法律上の親子関係、必要な手続きなどが異なるため、本人の希望や家庭の状況に応じて正確な情報を得る必要がある。
今回の体験発表会は、制度の説明と実際の養育経験を併せて聞くことで、養育家庭の生活について理解を深める機会となる。
フォスタリング機関の役割
今回の共催団体である「東京都児童相談センターフォスタリング機関二葉乳児院」には、フォスタリング機関という言葉が含まれる。
フォスタリング機関は、里親の募集や研修、子どもと里親のマッチングに関する支援、委託後の相談などを通じて、里親養育を包括的に支える機関である。
里親制度では、子どもが家庭に迎えられた後も、生活環境への適応や学校生活、子どもの成長に伴う様々な課題について相談が必要になる場合がある。
里親自身が養育上の悩みを相談できることは、子どもが安心して生活するための環境づくりとも関係する。
フォスタリング機関は、里親の募集から養育中の支援まで、継続的な支援を担う役割を持つ。
第2部で犯罪心理学者・出口保行氏が講演
第2部では、東京未来大学副学長兼こども心理学部長の出口保行氏が「攻める防犯という考え方」をテーマに講演する。
出口氏は犯罪心理学を専門とし、テレビ番組などでも犯罪や防犯について解説している研究者である。
犯罪心理学は、犯罪に関係する人の心理や行動、犯罪が起きる状況などを研究する分野である。
犯罪を個人の性格だけで説明するものではなく、人間関係や環境、社会的な条件なども研究対象となる。
今回の講演では、SNSなどを通じて子どもや若者が犯罪に巻き込まれる問題を含め、保護者や地域の大人が子どもを守るためにできることについて考える。
「攻める防犯」とは何を考えるものか
防犯というと、危険な場所を避ける、不審な人物に近づかない、戸締まりを徹底するといった対策が思い浮かぶ。
これらは犯罪被害を防止するための方法だが、子どもの安全を考える際には、危険を避ける方法を伝えることに加え、子ども自身が困った状況を大人に相談できる関係を築くことも関係する。
例えば、SNSを通じたトラブルでは、子どもが誰かに相談しようとしても、叱られることやスマートフォンを取り上げられることを心配して、相談をためらう場合がある。
こうした場面を考えると、子どもに注意を促すことだけでなく、相談しやすい環境をつくることも安全を守るための方法となる。
ただし、「攻める防犯」という表現の具体的な定義や講演で扱う内容の詳細は、千代田区の案内では示されていない。今回の講演では、出口氏による説明を通じて、その考え方を学ぶことになる。
児童虐待防止法と子どもの権利
日本では2000年に「児童虐待防止法」が施行された。
同法は、保護者による児童虐待を身体的虐待、性的虐待、ネグレクト、心理的虐待に分類し、虐待の防止や早期発見、保護などについて定めている。
ネグレクトとは、子どもの健康や安全を守るために必要な養育を著しく怠ることを意味する。
児童虐待と、子どもが犯罪に巻き込まれる問題は、必ずしも同じものではない。発生する状況や関係する制度、必要な支援も異なる。
しかし、どちらも子どもの安全や生活環境、大人との信頼関係などに関係する課題である。
子どもの権利条約第19条は、子どもをあらゆる形態の暴力や虐待などから守るため、締約国が適切な措置を講じることを定めている。
子どもの安全を守る取組には、被害が起きた後の対応だけでなく、被害を防止するための情報提供や相談、家庭への支援なども含まれる。
子どもの主体性と安全の両立
子どもの安全を考えるとき、大人が子どもの行動を管理することだけを防犯対策と考えると、子ども自身が判断する力や意見を述べる機会が十分に考慮されない場合がある。
子どもの年齢や発達段階に応じて危険について学び、不安なことがあれば安心して相談できる環境を整えることは、安全を確保しながら主体性を尊重する方法の一つとなる。
子どもの権利条約第12条では、子どもが自分に影響する事柄について自由に意見を表明する権利も定められている。
子どもが「困っている」「怖い」「嫌だ」と感じたことを伝えられることは、暴力や犯罪被害を防ぐうえでも関係する。
里親制度による養育環境の保障と、犯罪心理学による防犯についての学習は、制度上は別々の課題である。今回の講演会では、それぞれの内容を通じて、子どもの生活と安全について理解を深めることができる。
11月2日まで参加申し込み
会場のいきいきプラザ一番町は、千代田区一番町12番地にある。
参加申し込みは11月2日まで。千代田区のホームページに掲載されている専用フォームから申し込むことができる。
フォームでの申し込みが難しい場合は、区の児童・家庭支援センター子ども相談窓口に電話またはメールで連絡する方法も案内されている。
問い合わせ先は千代田区児童・家庭支援センター子ども相談窓口(03-5211-4116)。
区は、申込期限を過ぎた場合でも受け付けられることがあるため、参加を希望する人は問い合わせてほしいとしている。
千代田区と東京都児童相談センターフォスタリング機関二葉乳児院が共催する今回の催しは、里親制度の実際と犯罪心理学の知識を通じ、子どもの養育環境と安全について学ぶ機会となる。
千代田区「子どもが犯罪に巻き込まれないために大人ができること~養育家庭体験発表会&児童虐待防止講演会~」
URL:https://www.city.chiyoda.lg.jp/koho/event/20261106-2.html
