1.「部落探訪」削除新潟訴訟の第7回口頭弁論が9月18日に新潟地裁で開かれ、2027年2月3日に結審する予定となった。
2.次回11月18日には、新潟県連をめぐるウェブ記事に関し、被告本人を含む3人の尋問が予定されている。
3.ネット上で被差別部落の所在地を特定して公開する行為について、表現の自由と差別を受けず平穏に生活する利益をどこまで調整するかが司法上の論点となっている。

新潟地裁、2027年2月3日に結審予定
「部落探訪」削除新潟訴訟の第7回口頭弁論が9月18日、新潟地方裁判所で開かれた。部落解放同盟中央本部によると、鈴木拓児裁判長は2027年2月3日に結審する方針を示した。次回期日は11月18日午後1時30分で、新潟県連をめぐるウェブ記事について、被告本人を含む3人の尋問が予定されている。BLL
この訴訟については、原告側の主張と裁判所が認定した事実を区別して読む必要がある。部落解放同盟は問題の記事について、県立高校での「確認会」をめぐる同盟県連の活動を反社会的勢力であるかのように表現し、名誉や業務遂行権を侵害したと主張している。これらの評価は現在審理中であり、新潟地裁が最終判断を示したものではない。BLL
所在地情報は単なる「地理情報」なのか
部落差別をめぐるネット訴訟で難しいのは、公開される情報の一部が住所や地名、街並みの写真といった、一見すると一般的な情報で構成されている点にある。しかし問題となるのは、地名そのものではなく、その地域を「被差別部落」と結び付け、検索可能な状態で公開することによって、居住者や出身者を差別的な選別の対象にできる情報へ変化する点である。
法務省が部落差別解消推進法第6条に基づいて実施した実態調査でも、インターネット上に特定個人や不特定者を対象とした差別表現が存在することや、ネット上の部落差別関連情報を閲覧した人の一部に差別的な動機がみられることが確認されている。所在地情報の公開を考える際には、「情報が事実か否か」だけでなく、それがどのような文脈で整理され、何に利用され得るのかまで含める必要がある。法務省
埼玉訴訟で既に示された判断
同様に「部落探訪」の記事削除を求めた埼玉訴訟では、さいたま地裁が2025年12月17日、対象となった記事の削除・公表禁止などを命じる判決を出している。公開された判決文でも、部落解放同盟埼玉県連による訴訟の経緯などが確認できる。新潟訴訟は当事者や請求内容が異なるため、埼玉地裁判決がそのまま適用されるわけではないが、被差別部落を特定する情報と人格的利益の関係を考えるうえで参照される判断となる。裁判所
ここでは表現の自由も無視できない。地域史、差別史、行政史を研究・報道することまで一律に禁止すれば、歴史を検証する営みそのものを制約しかねない。逆に「公開されている情報だから」という理由だけで、差別に利用される形での体系的な再編集と拡散を無制限に認めれば、被差別当事者が受ける不利益を救済できない。
削除後も残る「情報の再拡散」
インターネット上の差別では、裁判所が一つのサイトに削除を命じても、転載、SNS投稿、動画、検索結果などに情報が残る可能性がある。この点で、紙媒体の出版差止めとは異なる問題が生じる。一度作られた「地域名と差別属性を結び付けるデータ」が複製されれば、個別削除だけでは被害回復が完結しない場合がある。
新潟地裁では11月18日の証人・本人尋問を経て、2027年2月3日に結審する予定である。最終的な判決では、個々の記事の名誉侵害だけでなく、被差別部落に関する所在地情報を公開する行為と、差別を受けず平穏に生活する利益を裁判所がどのように整理するかが重要になる。
部落解放同盟中央本部「来年2月3日に結審~誹謗中傷の被告に次回尋問」
URL:https://www.bll.gr.jp/info/news2026/news20261005-2.html
法務省「部落差別(同和問題)を解消しましょう」
URL:https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken04_00127.html
インターネット上の部落差別
URL:https://jinken-news.com/glossary/internet-buraku-sabetsu/
部落差別
URL:https://jinken-news.com/glossary/buraku-sabetsu/
表現の自由
URL:https://jinken-news.com/glossary/%E8%A1%A8%E7%8F%BE%E3%81%AE%E8%87%AA%E7%94%B1%E3%81%A8%E3%81%AF/
