愛知県日本語スピーチに149人 外国人県民35万人時代の「伝える場」

この記事のポイント

1.愛知県の日本語スピーチコンテストに149人が応募し、20人が最終審査に進んだ
2.2022年度の応募79人と比べ70人多く、外国人県民も2025年末で35万7,800人に達している
3.日本語を「学ぶ機会」と、自らの経験や考えを日本語で「表明する機会」は別の機能として捉える必要がある

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愛知県は8月22日、「多文化共生日本語スピーチコンテスト2026」の最終審査を愛知県図書館で実施した。応募149人のうち20人が登壇し、小学生の部では知立市立知立東小学校4年のライ・イミさん、中学生・高校生の部では名古屋市立振甫中学校1年のラミチャネ・リカさん、一般の部では孫利偉さんが最優秀賞を受賞した。応募の内訳は小学生51人、中学生・高校生44人、一般54人だった。

この事業を単なる「外国人の日本語能力コンテスト」と見ると、県が設定した目的や審査内容を取りこぼす。愛知県は2015年度から、外国人県民が日本語で自らの考えを伝える意欲を高め、多文化共生への理解を広げることを目的として実施している。審査では日本語の使用だけでなく、話の構成・展開、独創性、具体性、聴衆への伝わり方、最終審査では流暢さや表現力も対象になる。2026年の最優秀賞も「日本とネパールの料理のちがいから」「世界を変える、一秒の勇気」など、参加者自身の経験や問題意識が題材となった。

応募規模にも変化がある。2022年度は79人だったのに対し、2026年度は149人で70人多い。4年間の数字だけから継続的な増加傾向と断定はできないものの、今回の応募規模が2022年度を大きく上回ったことは確認できる。県内の外国人住民も2025年12月末で35万7,800人となり、県人口の4.80%を占める。国籍別ではベトナム7万820人、ブラジル6万406人、フィリピン4万8,708人、中国4万8,650人、ネパール2万3,328人などで、「外国人県民」という一つの括りの内部に多様な言語・生活背景がある。

ここで区別したいのが、日本語を「発表する場」と「学ぶ機会」である。スピーチコンテストは参加者の意見表明や住民同士の相互理解につながる事業だが、生活に必要な日本語を継続して学べる環境そのものではない。愛知県は別事業として、地域日本語教育の体制づくりや、初期日本語教育のモデル事業、人材育成も進めている。日本語能力が十分でない人ほどコンテストのような発表の場に参加しにくい可能性もあるため、双方を同じ成果として扱うことはできない。

149人が参加した今回の数字は、多文化共生施策の一側面を示している。愛知県社会活動推進課多文化共生推進室が、外国人県民に日本語習得を促すだけでなく、習得した日本語を使って地域に向け自らの経験や考えを語る機会を設けている点に、このコンテストの制度的な特徴がある。

出典

愛知県「多文化共生日本語スピーチコンテスト2026 最終審査結果」
URL:https://www.pref.aichi.jp/soshiki/tabunka/speech-contest-2026-saisyukekka.html

愛知県「多文化共生日本語スピーチコンテスト2026」
URL:https://www.pref.aichi.jp/press-release/tabunka-speach-contest-2026.html

愛知県「愛知県内の外国人住民数」
URL:https://www.pref.aichi.jp/soshiki/tabunka/gaikokuzinjuminsu-2025-12.html

人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

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