1.鹿屋市が10月18日、東京大学大学院教授の四本裕子氏を招き「男性脳・女性脳ってほんとうにあるの?」を開催する。
2.四本氏は、脳の性差を単純な「男性脳」「女性脳」に分け、個人の能力や適性と結び付ける説明には問題があると指摘している。
3.性別による平均的な差を研究することと、性別だけで個人の役割や進路を決めることを区別する必要がある。

鹿児島県鹿屋市は10月18日午前10時から、リナシティかのや2階情報研修室で男女共同参画講演会「男性脳・女性脳ってほんとうにあるの?」を開催する。講師は認知神経科学と知覚心理学を専門とする東京大学大学院総合文化研究科教授の四本裕子氏。定員は70人で参加無料、10月14日まで申し込みを受け付ける。鹿屋市が主催し、鹿屋体育大学が後援する。
「男性脳」「女性脳」という表現は、男女の考え方や得意分野の違いを説明する言葉として使われることがある。しかし、脳科学における性差の研究と、人間を二種類の脳に分類する説明は同じではない。四本氏は東京大学が2024年に掲載した解説で、生物学的な性も染色体、ホルモン、表現型など複数の要素から構成されると説明する。脳は教育、経験、訓練などによって変化するため、成人男女の脳画像に統計的な差が見つかったとしても、その差を直ちに生まれつきの性だけに帰することはできないとしている。
性別に基づく思い込みについて、内閣府男女共同参画局は2021年度、20~60代の10,330人を対象に36項目の調査を実施した。「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と答えた項目が一つ以上あった人は76.3%で、「アンコンシャス・バイアス」という言葉の認知度は21.6%だった。調査項目には「デートや食事のお金は男性が負担すべきだ」「男性は人前で泣くべきではない」「家を継ぐのは男性であるべきだ」などが含まれる。ただし、これは質問への自己回答を集計した調査であり、心理学実験で無意識の反応そのものを直接測定した結果と同一に扱うべきではない。
男女の平均値に何らかの差がある可能性を研究すること自体と、「男性だから論理的」「女性だから共感力が高い」と個人を判断することは別である。後者が採用、昇進、進路指導、家事・育児の役割分担に使われれば、本人の能力や希望より性別カテゴリーが先に置かれる。鹿屋市の講演会が扱う意義は、「男女平等にしましょう」という啓発だけでなく、そもそも性別による決めつけに科学的根拠があるのかを認知神経科学から検討する点にある。10月18日の講演では、四本氏の研究知見を、鹿屋市の家庭、学校、職場、地域で生じる具体的な判断とどう結び付けて説明するかが中心となる。
鹿屋市「男女共同参画講演会『男性脳・女性脳ってほんとうにあるの?』」
URL:https://www.city.kanoya.lg.jp/danjyo/kouenkai.html
東京大学「ステレオタイプに陥らないために──『男性脳・女性脳』の言説」
URL:https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/features/z0405_00029.html
内閣府男女共同参画局「令和3年度 性別による無意識の思い込みに関する調査結果」
URL:https://www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/2021/202110/202110_02.html
アンコンシャス・バイアス
URL:https://jinken-news.com/glossary/unconscious-bias/
固定的性別役割分担意識
URL:https://jinken-news.com/glossary/fixed-gender-roles/

