仙台市、中高生の居場所を2施設に開設 無料・予約不要でモデル実施

この記事のポイント

1.仙台市が若林区文化センターとせんだいメディアテークに、中高生年代が無料で過ごせる居場所を開設した。
2.交流を中心とするスタッフ常駐型と、自主学習や読書に使う常設型の2方式を2027年1月31日まで試行する。
3.利用者アンケートにこどもの意見を反映し、家や学校以外の居場所づくりに生かすモデル事業となる。

こどもの人権を守ろう

仙台市は7月28日、若林区文化センター1階の「わかぽーと」で、中高生年代の居場所「WAKAプレ」の運用を始めた。8月1日には、せんだいメディアテーク2階南側にも自主学習や読書、休憩に使える場所を設ける。対象は市内在住または在学のおおむね13歳から18歳で、いずれも無料、予約は要らない。モデル事業の期間は2027年1月31日までとなる。

WAKAプレには運営スタッフが常駐し、勉強や休憩のほか、ボードゲーム、会話、イベントへの参加など、利用者同士の交流を想定する。通常は毎週水曜日の15時30分から19時まで開き、夏休み中は水曜と金曜の13時から17時30分までとする。せんだいメディアテークの居場所は、平日9時30分から20時、土日・祝日は18時まで利用でき、個人や少人数で静かに過ごす用途を中心に据えた。交流型と自習・休憩型を別々の公共施設で試す構成である。

仙台市が2023年度に実施した「こども・若者アンケート調査」では、10歳から17歳の回答者2,099人のうち、居心地のよい場所として「自分の家(自分の部屋を除く)」を挙げた割合が68.8%、「自分の部屋」が63.8%だった。「居心地がよいと感じる居場所はない」とした回答も1.6%あった。家や学校以外で、費用を払わず、目的を決めずに滞在できる場所を設ける今回の事業は、この調査結果を公共施設の運用に結び付ける試みといえる。

国が2023年12月に決定した「こどもの居場所づくりに関する指針」は、こども・若者の声を聴き、ともに居場所をつくること、安全と安心を確保すること、取組を継続的に検証することを示した。こども基本法第11条も、国と地方公共団体が、こども施策の策定、実施、評価で当事者の意見を反映させるための措置を講ずるよう定めている。人権上の論点は、単に座席や部屋を用意することではなく、こどもが過ごし方を選び、運営に意見を出せる環境になっているかにある。

自治体の先行例では、横浜市が中高生世代を中心とする「青少年の地域活動拠点」を複数地域で運営し、自由に過ごす場に加えて、地域交流や社会参加、職業体験の機会を提供している。仙台市のモデル事業は、専用施設を新設せず、若林区文化センターとせんだいメディアテークの既存空間を使う点に特徴がある。公共施設の利用時間や立地を生かせる反面、スタッフを配置しない場所での安全管理、混雑時の席の確保、学校や家庭から距離を置きたい中高生への周知方法は、検証項目として残る。

利用者数だけでは、居場所に足を運べなかった中高生の事情や、集団交流を望まない人の使いやすさまでは把握できない。仙台市こども若者局は、WAKAプレとせんだいメディアテークで寄せられた意見に加え、未利用者の声も確認し、2027年1月31日以降の居場所の充実策へ反映した経過を示す必要がある。

出典

仙台市「学校でも塾でもない!『中高生年代の居場所づくりモデル事業』を実施します」 URL:https://www.city.sendai.jp/kodomo-wakamonokikaku/20260721_chukoseiibasho.html
参考 仙台市「中高生年代のための新しい居場所づくりモデル事業」 URL:https://www.city.sendai.jp/kodomo-wakamonokikaku/ibasho/chukoseiibasho.html
参考 こども家庭庁「こども・若者の居場所づくり」
URL:https://www.cfa.go.jp/policies/ibasho
参考 横浜市「青少年の地域活動拠点づくり事業」 URL:https://www.city.yokohama.lg.jp/kosodate-kyoiku/ikusei/kenzenikusei/kyoten.html

人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

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