1.鹿児島市が、若者向けのデートDV防止啓発誌「知ってほしい 自分も相手も大切にするということ」を公開している。
2.スマートフォンの無断確認、即時返信の強要、金銭要求、同意のない性的行為などを、4種類の暴力に分けて解説する。
3.冊子は、被害を受けた側の責任ではないと明記し、鹿児島市内の相談窓口や性暴力被害の支援先を案内している。

鹿児島市男女共同参画センターは、若者向けのデートDV防止啓発誌「知ってほしい 自分も相手も大切にするということ」を市のウェブサイトで公開している。2025年6月版の全16ページで、「多少のことは我慢して相手をたてなきゃ」「ちょっと強引なくらいが男らしい」「女の子は女子力が大事」といった思い込みを冒頭に示し、恋人同士が互いを尊重し、安心して「NO」と言える対等な関係かを問いかける。
冊子のチェック項目には、相手のスマートフォンを勝手に見る、メッセージにすぐ返信しないと怒る、居場所や予定を常に把握しようとする、友人との約束より自分を優先させるといった行為が並ぶ。暴言や殴打だけでなく、デート代を一方的に負担させること、金銭や贈り物を要求すること、裸の画像や動画を送らせることも例示した。これらを精神的、身体的、経済的、性的の4種類に分け、学校やデート中の場面を漫画形式で伝えている。
内閣府の2023年度調査では、交際経験のある2112人のうち、交際相手から身体的暴行、心理的攻撃、経済的圧迫、性的強要のいずれかを受けた人は18.0%だった。女性は22.7%で約4人に1人、男性は12.0%で約8人に1人となっている。鹿児島市の冊子はこの数字を掲載し、デートDVが女性だけの問題ではなく、中学生や高校生を含む若者の間でも起こり得ると説明する。
冊子は、対等な立場で意見を交わすけんかと、恋愛関係を利用して相手を支配するDVを区別する。加害行為の後に謝罪や優しい態度を示し、緊張形成期、爆発期、ハネムーン期が繰り返される「DVのサイクル」も掲載した。束縛やスマートフォンの監視は、身体に傷を残さなくても、交友関係、移動、通信、プライバシーを制限する。性的な接触や画像の撮影・送信では、恋人関係であっても、その都度の自由な同意がなければならないという身体の自己決定が中心になる。
配偶者暴力防止法は、配偶者や事実婚の相手に加え、婚姻関係に類する共同生活を営み、生活の本拠を共にする交際相手からの暴力にも準用される。ただし、同居していない恋人など、すべての交際関係が同法の対象になるわけではない。鹿児島市の冊子が、法律上の関係性にかかわらず、性的画像を使った脅迫やリベンジポルノ、AV出演強要などを併せて扱うのは、若者が被害を「恋人同士の問題」として抱え込まないためである。
冊子末尾には、サンエールかごしま相談室の電話番号「099-813-0853」、性暴力被害者サポートネットワークかごしま「FLOWER」につながる全国共通短縮ダイヤル「#8891」、鹿児島県警察本部総合相談窓口「#9110」などを掲載している。サンエールかごしま相談室は、火曜日から日曜日まで相談を受け、水曜日は午後8時まで対応する。鹿児島市男女共同参画推進課が、この16ページのチェック項目と相談先を学校、家庭、若者支援の現場へ届けることが、被害への気付きから具体的な相談行動までをつなぐ。
鹿児島市「デートDV防止啓発誌『知ってほしい自分も相手も大切にするということ』」
URL:https://www.city.kagoshima.lg.jp/shimin/shiminbunka/danjokyodo/machizukuri/danjo/kanko/datedv.html
鹿児島市男女共同参画センター「知ってほしい 自分も相手も大切にするということ」
URL:https://www.city.kagoshima.lg.jp/shimin/shiminbunka/danjokyodo/machizukuri/danjo/kanko/documents/202506_datedvkeihatsu.pdf
内閣府男女共同参画局「男女間における暴力に関する調査報告書〈概要版〉」
URL:https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/chousa/pdf/r05danjokan-gaiyo.pdf
内閣府男女共同参画局「配偶者暴力防止法」
URL:https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/law/index2.html

