日本財団調査、若者の「日本は平和」半数下回る

日本財団国家安全保障グラフ

日本財団は、18歳意識調査の第79回テーマ「国家安全保障」の結果を公表した。調査は2026年3月19日から25日にかけ、全国の17~19歳の男女1,000人を対象にインターネットで実施された。日本を取り巻く状況について「平和である」「どちらかといえば平和である」と答えた割合は48%で、2023年1月に同じテーマで実施した第53回調査から16ポイント減少した。ウクライナや中東情勢など国際環境の変化を背景に、若者の間でも安全保障への不安や判断の難しさが強まっていることがうかがえる。

日本が平和である主な要因については、「非核三原則の存在」が引き続き最も多く、「自衛隊の存在」が前回調査から9ポイント増えて2位となった。一方で、「日米同盟の存在」は前回から7ポイント減少し、5位に後退した。防衛関係費の増額については、「賛成」「どちらかといえば賛成」が35%、「反対」「どちらかといえば反対」が24%となったが、「わからない」が41%に上った。とくに女性では「わからない」が前回より15ポイント増えており、防衛費、税負担、社会保障、外交、平和主義をめぐる論点が若者にとって容易に判断できない課題になっている。

この調査結果は、安全保障を軍事や外交の専門分野としてだけでなく、若者の権利意識や主権者教育の課題として捉える必要性を示している。国家安全保障は、生命・身体の安全、表現の自由、教育、社会保障、財政負担、地域社会の平穏と密接に関わる。防衛関係費の増額方法をめぐっては、「企業が支払う税の税率アップ」や「その他の分野の支出削減」が上位となり、「社会保障費の削減」や「新たな国債発行」も一定の回答を集めた。安全保障政策は、将来世代が負担する税や社会保障の在り方にも影響するため、若者自身が情報に基づいて考える機会を保障することが重要となる。

また、米軍基地の重要性については「重要」と考える人が51%と過半数を占めたものの、前回より10ポイント近く減少した。徴兵制度導入の是非が議論になった場合の意見では「反対」が76%と多数を占めたが、「賛成」は前回より増加している。核兵器に関する姿勢を見直す場合の選択肢についても、「国内製造」「輸入」「同盟国による配備」を容認する回答はいずれも30%弱で、女性の肯定意見の増加が目立つとされた。これらは、戦争や安全保障をめぐる現実感が若年層の意識に影響している一方、平和主義や非核の原則について、改めて教育・対話の場が求められていることを示す。

人権の観点からは、安全保障を「国を守るための制度」としてのみ論じるのではなく、そこに住む一人ひとりの自由、生命、尊厳、将来設計をどう守るのかという視点が欠かせない。若者の多くが「わからない」と回答していることは、無関心というより、複雑な国際情勢や国内政策の選択肢を判断するための情報と対話の不足を映している可能性がある。学校教育、メディア、地方公共団体、市民団体には、特定の結論を押し付けるのではなく、憲法、国際法、非核三原則、社会保障、財政、外交の関係を整理し、若者が自ら考えられる環境を整える役割がある。

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