富山県、無断撮影による職員ハラスメントで懲戒処分

懲戒処分のイメージ図

富山県は4月24日、職員の懲戒処分等の内容を公表し、厚生部の課長補佐級職員を減給1月、10分の1とする処分を行ったことを明らかにした。県によると、当該職員は令和6~7年度にかけて、勤務時間中に職場内で複数の女性職員をスマートフォンで無断撮影し、精神的苦痛を与えたとされる。県はこの行為をハラスメントとして位置付け、令和8年3月13日付で処分した。

今回の事案は、職場におけるハラスメントが、暴言や性的言動、職務上の優越的関係を背景とする行為に限られないことを示している。無断撮影は、身体的接触を伴わなくても、相手の人格や私生活上の平穏を侵害し、安心して働く環境を損なう行為となり得る。特に公務職場では、住民に対する行政サービスの担い手として高い倫理性が求められるだけでなく、内部の職員同士の人権尊重も組織運営の基礎となる。

近年、職場のハラスメント対策は、事後的な処分だけでなく、予防、相談対応、被害申告後の不利益取扱い防止を含む総合的な取組へと広がっている。スマートフォンの普及により、撮影、録音、SNS共有など、従来の就業規則や研修では十分に想定されてこなかった行為が、職場環境上の問題として顕在化しやすくなっている。地方公共団体や事業者にとっては、単に「撮影禁止」を掲げるだけでなく、相手の同意、職場内のプライバシー、相談窓口の実効性を含めたルール整備が課題となる。

人権の観点からは、被害を受けた職員が「大ごとにしたくない」「職場に居づらくなる」と感じ、申告をためらう構造にも注意が必要である。ハラスメント防止は、個々の不適切行為を処分するだけでは完結しない。組織として、被害者の心理的安全性を確保し、管理職が早期に兆候を把握できる体制を整えることが重要となる。今回の公表は、公務職場においても、デジタル機器を用いた人権侵害的行為を職場秩序と人権保障の問題として扱う必要性を改めて示している。

出典

富山県「職員の懲戒処分等の公表について」
URL:https://www.pref.toyama.jp/1104/houdou/2026/r804tyoukai.html

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