
大阪府は、高齢者と高齢者に関わる人を対象にした「暑さ対策セミナー」を2026年5月27日に開催する。大阪では、地球温暖化に加え、都市部のヒートアイランド現象の影響により、日本平均より早いペースで気温が上昇する傾向がある。近年は熱中症による救急搬送者数が高い水準で推移し、死亡例もみられることから、府は高齢者本人や家族、福祉関係者に向けて、予防と応急対応を学ぶ機会を設ける。
セミナーは5月27日午後1時30分から3時まで、アットビジネスセンター大阪梅田701号室での会場参加とオンライン配信の併用で行われる。対象は、福祉等の現場で高齢者と関わる人、高齢者本人、高齢者のいる家族など。講演では、堺市立総合医療センター救命救急科の犬飼公一氏が高齢者における熱中症発生メカニズムと対策を解説し、大阪府監察医事務所の片岡真弓氏が大阪市内の死亡事例から熱中症死亡リスクを取り上げる。さらに、おおさか気候変動適応センターの奥村智憲氏が、激甚化する大阪の暑さと気候変動への「適応」について説明する。全講演に手話通訳が付き、オンラインでも配信される。
参加費は無料で、定員は会場50人、オンライン500人。申込みは専用フォーム、ファクシミリ、電話で受け付け、期限は5月22日午後5時までとしている。障がいのある人が会場参加にあたり配慮を希望する場合は、申込み時に相談できる。主催は大阪府で、運営は地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所のおおさか気候変動適応センターが担う。
高齢者は、暑さを感じにくくなる、体内の水分量が低下しやすい、持病や服薬の影響を受けやすいなど、熱中症が重症化しやすい条件を抱えることがある。暑さ対策は単なる生活上の注意ではなく、生命・健康を守る福祉施策であり、地域の見守り、介護現場での観察、家族による声掛け、冷房利用をためらう人への支援とも結び付く。特に独居高齢者や認知症のある人、障がいのある人などは、自ら危険を察知して助けを求めることが難しい場合があり、周囲の理解と早期対応が欠かせない。
今回のセミナーは、気候変動への適応策を高齢者福祉の実務に接続する取組といえる。行政や福祉関係者には、講演で得た知識を施設内の暑熱対策、訪問時の確認項目、地域包括支援センター等との連携に反映させることが求められる。府民にとっても、猛暑を「個人の我慢」で乗り切るのではなく、命を守るために冷房、避難、見守り、相談を適切に使うという意識を広げる機会となる。

