徳島大学で過労死防止シンポジウム 高橋幸美さんと稲尾和泉さんが登壇

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この記事のポイント

1.厚生労働省は11月19日、徳島大学で「過労死等防止対策推進シンポジウム」を開催する。
2.過労死遺族の高橋幸美さんが経験を語り、稲尾和泉さんがパワーハラスメントを防ぐコミュニケーションを解説する。
3.過労死等防止対策推進法の仕組みと、労働者の健康や尊厳を守る職場づくりについて学ぶ機会となる。

徳島県の過労死等防止対策推進シンポジウム

厚生労働省は2026年11月19日午後1時から3時20分まで、徳島市南常三島町の徳島大学総合科学部1号館301講義室で「過労死等防止対策推進シンポジウム」を開催する。徳島県と徳島市が後援し、過労死遺族による講演、パワーハラスメント防止に関する基調講演、徳島労働局の取組紹介などを行う。参加は無料で、事前申込みが必要。毎年11月の「過労死等防止啓発月間」に合わせ、働く人の生命や健康を守る制度と職場での予防策を考える催しとなる。

高橋幸美さんが過労死遺族として講演

「過労死遺族の声」では、高橋幸美さんが「大手広告代理店過労死事件から11年過労死のない安全な社会を願う」をテーマに講演する。

高橋さんは、東京過労死を考える家族の会の会員で、過労死等防止対策推進全国センター副代表を務める。また、厚生労働省の過労死等防止対策推進協議会の委員として、過労死防止施策の検討にも関わっている。

過労死の問題を考える際には、労働時間の長さだけでなく、業務量、仕事上の責任、職場の人間関係、相談環境など、複数の条件を整理する必要がある。

働く人が体調の悪化を感じていても、仕事を休むことや業務量の調整を申し出ることが難しい場合がある。長時間労働が続く職場では、十分な睡眠や休養を確保できないことも健康上の問題につながる。

遺族の経験を聞くことは、過労死が本人だけでなく家族の生活にも及ぼす影響について理解する機会となる。

稲尾和泉さんがパワハラ防止を解説

基調講演には、株式会社クオレ・シー・キューブ取締役の稲尾和泉さんが登壇する。

演題は「パワハラを防ぐ為のコミュニケーション~自分も相手も大切に~」。

稲尾さんはハラスメント問題の調査や研修などに関わり、厚生労働省の検討会委員なども務めてきた。今回の講演では、職場のコミュニケーションを通じてパワーハラスメントを防ぐ方法を取り上げる。

パワーハラスメントは、職場において優越的な関係を背景として行われる言動で、業務上必要かつ相当な範囲を超え、労働者の就業環境を害するものを指す。

上司から部下への行為だけでなく、同僚間などでも優越的な関係が認められる場合には該当する可能性がある。

業務上の注意や指導が、すべてパワーハラスメントになるわけではない。しかし、指導という名目で人格を否定したり、必要以上に威圧したりする行為が正当化されるわけでもない。

適切な指導とハラスメントを区別するには、業務上の目的や必要性、伝え方、言動の内容、実施された状況などを考える必要がある。

過労死等防止対策推進法の対象

2014年には「過労死等防止対策推進法」が制定された。

同法は、過労死等の防止について基本理念を定め、国や地方公共団体などの責務、施策の基本的な事項を規定している。

法律における「過労死等」には、業務における過重な負荷による脳血管疾患や心臓疾患を原因とする死亡、業務上の強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡などが含まれる。また、これらの疾患や精神障害自体も対象となっている。

そのため、過労死等防止対策推進法は、死亡に至った事案だけを扱う法律ではない。

深刻な健康被害が生じる前に、長時間労働や心理的負荷などの問題を把握し、予防するための施策も対象となる。

法律に基づき、国は過労死等の実態把握や調査研究、啓発、相談体制の整備、民間団体の活動支援などを進めている。

労働時間規制や安全衛生管理との違い

過労死等防止対策推進法は、労働時間の上限や企業の健康管理義務をすべて定める法律ではない。

労働時間や休日については労働基準法、労働者の健康確保については労働安全衛生法など、別の法律にも規定がある。

例えば、時間外労働には法令上の上限規制が設けられており、長時間労働者に対する医師による面接指導なども、一定の要件の下で実施される。

過労死防止を進めるためには、こうした法的な仕組みと、職場における業務量の管理、健康相談、ハラスメント防止などを組み合わせて考える必要がある。

国は毎年11月を「過労死等防止啓発月間」とし、全国でシンポジウムや啓発活動を実施している。

相談できる職場環境が健康を守る

労働者が心身の不調を感じた場合、相談先を知っていることは早期の対応につながる。

しかし、職場の人間関係や評価への不安から、長時間労働やハラスメントについて声を上げにくい人もいる。

こうした状況では、上司や同僚とのコミュニケーションを改善することに加え、組織内外の相談窓口が利用できることも重要となる。

労働基準監督署や総合労働相談コーナーなどでは、労働時間、労働条件、職場のトラブルに関する相談を受け付けている。

相談窓口を利用することで、本人が置かれた状況を整理し、法制度や必要な対応について情報を得られる場合がある。

今回のシンポジウムには、経営者団体、弁護士会、労働団体、大学などが協力している。働く人、企業、行政、専門家が異なる立場から過労死防止を考える構成となっている。

参加無料、事前申込みを受付

会場は徳島大学総合科学部1号館301講義室。受付は午後0時30分から開始する。

参加希望者は、公式案内からウェブまたはFAXで申し込む。受付番号が発行されるため、当日は会場受付で番号を伝える。定員に達した場合は申込みが締め切られる。

徳島労働局の取組紹介も予定されており、国の制度と地域での行政対応を知ることもできる。

厚生労働省は11月19日、徳島大学でのシンポジウムを通じて、過労死遺族の経験、パワーハラスメント防止、行政施策などを共有する。参加者は、働く人の生命と健康を守るための具体的な知識を学べる。

出典

徳島県「過労死等防止対策推進シンポジウムのご案内」
URL:https://www.pref.tokushima.lg.jp/ippannokata/sangyo/rodokankei/7317512

徳島県「過労死等防止対策推進シンポジウム徳島会場チラシ」
URL:https://www.pref.tokushima.lg.jp/file/attachment/1090553.pdf

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人権ニュース編集部

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