レバノン議会、死刑廃止法案を可決 22年の執行停止から法制化へ

この記事のポイント

1.レバノン議会が8月11日、すべての犯罪について死刑を廃止する法案を可決した。
2.同国では2004年1月17日を最後に22年以上死刑を執行していないが、死刑制度自体は法律上残っていた。
3.議会可決と法施行は同一ではなく、大統領の署名と官報掲載を経て発効する手続が残る。

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レバノン議会は8月11日、すべての犯罪について死刑を廃止し、死刑判決を終身刑に置き換える法案を可決した。アムネスティ・インターナショナルによると、同国で最後に死刑が執行されたのは2004年1月17日で、2026年1月末時点では85人が死刑判決を受けて収監されていた。法案は2025年10月に提出され、2026年2月から複数の議会委員会を経て本会議に至った。

今回の変化を理解するうえでは、「死刑を執行していない国」と「法律上死刑を廃止した国」を区別する必要がある。レバノンは22年以上にわたり事実上の執行停止状態にあったが、法律上は裁判所が死刑を言い渡す余地が残り、死刑囚も存在した。政権や刑事政策が変われば執行が再開される可能性を完全には排除できない状態から、刑罰そのものを法律から取り除くことが今回の法改正の核心となる。

ただし、8月13日時点で「法案が可決された」ことと「法的に死刑制度が消滅した」ことを完全に同一視するのは早い。アムネスティ国際事務局と国連人権高等弁務官事務所は、議会可決後、大統領による最終署名と官報掲載を経て法律が発効すると説明している。すでに報道では「レバノンが死刑を廃止」と表現する例もあるが、制度記事では発効手続まで分けて記録する必要がある。

もう一つの論点は既存の死刑判決の扱いだ。法案は死刑を終身刑へ置き換える内容であり、85人の既決囚についても刑の変更が実務上の課題となる。アムネスティは併せて、市民的及び政治的権利に関する国際規約の「死刑廃止を目指す第2選択議定書」の批准をレバノンに促している。国内法改正に加え国際法上の約束まで行うかが、今回の改革を恒久化する次の段階となる。

出典

アムネスティ日本「レバノン:死刑を廃止 人権に基づく正義の歴史的勝利」
URL:https://www.amnesty.or.jp/news/2026/0812_11061.html

国連人権高等弁務官事務所「Lebanon: abolition of death penalty」
URL:https://www.ohchr.org/en/press-releases/2026/08/lebanon-abolition-death-penalty

人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

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