1.埼玉県内の児童虐待相談は2025年度に1万5,355件となり、前年度から426件減少した
2.心理的虐待が62.0%、警察からの通告が62.9%を占め、乳幼児は全体の38.9%だった
3.埼玉県は児童相談所職員を33人増員し、SNS相談や警察との全件情報共有を進める

埼玉県内の児童相談所(さいたま市を含む)が2025年度に対応した児童虐待相談は1万5,355件となり、前年度の1万5,781件から426件、2.7%減少した。2022年度以降の集計は、相談受理後の調査で虐待行為がなかったと確認されたケースを除く方式に改められており、2021年度の1万7,606件とは単純比較できない。件数は減ったものの、県は依然として高い水準にあると説明している。
虐待の種類では心理的虐待が9,513件で62.0%を占め、身体的虐待3,626件、保護の怠慢・拒否2,036件、性的虐待180件と続いた。通告経路は警察が9,661件で62.9%と突出し、学校等は803件、児童本人からは223件だった。被虐待児の年齢は0歳から就学前までが計5,974件で38.9%、小学生が5,601件で36.5%。主な虐待者は実母7,419件、実父6,684件で、両者を合わせると91.8%に達する。
相談対応件数の減少だけで、虐待そのものが同じ割合で減ったとは判断できない。件数は、家庭内で起きた行為の量だけでなく、警察、学校、近隣住民、子ども本人が異変を把握し、相談・通告につなげられたかにも左右されるためだ。警察経由が6割を超えるのに対し、児童本人からの相談は1.5%にとどまる。子どもが被害を言葉にしにくい状況を前提に、第三者による早期発見と、子どもが直接アクセスできる相談手段を併せて整える必要がある。
埼玉県は2026年度、児童相談所職員を33人増員し、ICTによる業務効率化、無料のSNS相談、児童相談所と警察署が全件をリアルタイムで共有するシステムを運用する。児童福祉司経験者を市町村に派遣し、リスクが低いと判断した通告の安全確認を民間団体に委託する取組も続ける。児童相談所虐待対応ダイヤル「189」は匿名で利用でき、通話料も無料である。県の体制強化は、通告後の安全確認を速めるだけでなく、保護者が深刻化する前に相談できる入口を広げられるかが実務上の課題となる。
児童虐待への対応では、子どもの生命と心身の安全を最優先にしながら、子どもの意見を聴き、家庭が抱える孤立や養育上の困難にも支援をつなぐ必要がある。埼玉県は11月のオレンジリボンキャンペーンを含む啓発と、33人増員した児童相談所、警察・市町村・民間団体の連携を組み合わせ、1万5,355件の相談の先にある個々の子どもの安全確認を進める。
埼玉県「令和7年度の県内児童相談所における児童虐待相談対応状況と今後の取組について」
URL:https://www.pref.saitama.lg.jp/a0608/news/page/news2026073001.html
こども家庭庁「児童相談所虐待対応ダイヤル『189』」
URL:https://www.cfa.go.jp/policies/jidougyakutai/gyakutai-taiou-dial
児童虐待
URL:https://jinken-news.com/glossary/child-abuse/
児童相談所虐待対応ダイヤル189
URL:https://jinken-news.com/glossary/child-abuse-hotline-189/
子どもの権利
URL:https://jinken-news.com/glossary/childrens-rights/
