宮城県ネット中傷防止条例案 削除要請・相談支援を明記

この記事のポイント

1.宮城県議会は6月29日、インターネット上の誹謗中傷等防止条例骨子案へのパブリックコメント募集を始めた。
2.骨子案は、人権侵害情報の削除要請、相談支援、説示・助言、災害時等の風説流布防止などを盛り込む。
3.意見募集は7月28日までで、電子申請、電子メール、郵送、ファクシミリで受け付ける。

宮城県議会は2026年6月29日、「(仮称)宮城県インターネット上の誹謗中傷等防止条例骨子案」に対するパブリックコメントの募集を始めた。募集期間は7月28日まで。県議会は、インターネット上の誹謗中傷等による人権侵害を防ぎ、県民が加害者にも被害者にもならないよう、県、県議会、県民、事業者の責務等を明らかにする条例の検討を進めている。

骨子案は、条例の目的として、インターネット上の誹謗中傷等による人権侵害の防止、県民が安心して生活し情報を流通させることができる社会の実現を掲げた。定義では、「人種等の属性」として、人種、民族、信条、性別、社会的身分、門地、障害、疾病、性的指向、ジェンダーアイデンティティなどを列挙した。「人権侵害情報」には、誹謗中傷、通常他人に知られたくない個人情報、人種等の属性を理由とした不当な差別的取扱いを助長・誘発する言動や侮辱を含めている。

施策の柱は、インターネットリテラシーの向上、相談支援、削除要請等、説示または助言、削除要請等の基準、災害等の発生時における風説の流布防止である。相談支援では、被害者の心理的負担の軽減を図るため、相談体制の整備、必要な情報の提供・助言、専門的な知識または技能を有する者の紹介を行うとした。補足説明では、発信者情報の開示請求、プラットフォーム事業者への削除申出、弁護士・法テラス、臨床心理士等の紹介が想定されている。

制度上の焦点は、知事による削除要請等である。骨子案では、県内に居住、通勤、通学する特定の個人や、県内の特定地域に関する人権侵害情報が流通していることが明らかで、被害者から申出があった場合などに、知事がプラットフォーム事業者への削除要請や、国その他の関係機関への通報を行うことができるとした。削除要請は行政指導に当たると説明され、知事は表現の自由その他の権利を不当に侵害しないよう留意するものとしている。

削除要請や通報を行っても人権侵害情報が削除されない場合で、行為者が明らかであり必要があると認めるときは、知事がその者に説示または助言をすることができる。骨子案は、削除要請、説示、助言に係る基準を別に定め、基準を定めたときは遅滞なく公表するとしている。行政がネット上の表現に関与する仕組みである以上、被害救済の迅速性と、表現の自由への過剰介入を避ける手続的な明確性が同時に問われる。

災害時等の規定も、宮城県の条例案の特徴となる。骨子案は、災害、感染症のまん延、その他緊急事態の発生時に、人権侵害行為を助長・誘発するおそれのある風説や、虚偽であることが明らかで県民に混乱を生じさせるおそれのある風説の流布を防ぐため、県が必要な施策を講じるとしている。東日本大震災を経験した宮城県で、被災地情報、避難行動、支援活動とネット上の情報流通をどう接続するかは、条例化の過程で具体的に検討されることになる。

県議会は、宮城県インターネット上の誹謗中傷等防止委員会(仮称)を置き、知事への意見提出や重要事項の調査審議を担わせる案も示した。意見は電子申請、電子メール、郵送、ファクシミリで提出でき、電話での提出はできない。提出された意見の概要と県議会の考え方は、県議会ホームページ等で公表される予定で、宮城県議会事務局政務調査課政策法令班が提出先となっている。

出典

宮城県議会「『(仮称)宮城県インターネット上の誹謗中傷等防止条例骨子案』に対する御意見(パブリックコメント)の募集について」
URL:https://www.pref.miyagi.jp/site/kengikai/public_comment_20260629.html

宮城県議会「(仮称)宮城県インターネット上の誹謗中傷等防止条例骨子案」
URL:https://www.pref.miyagi.jp/documents/65678/kossian.pdf

人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

人権ニュース編集部をフォローする
司法・制度
シェアする
タイトルとURLをコピーしました