ユニセフ、世界の子どもの人道危機に政治的決断を要請

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ユニセフ(国連児童基金)のキャサリン・ラッセル事務局長は、2026年4月22日に国連本部で開かれた会合「Humanitarian Dialogue – Humanitarian Priorities for Children in 2026」において、世界の子どもたちが前例のない規模の暴力、剥奪、避難に直面しているとして、政治的決断と資金投入を求めた。日本ユニセフ協会が公表した発言によると、2024年に国連が確認した子どもに対する重大な権利侵害は4万1,000件以上に上り、過去最多となった。2025年も同様の傾向が見られ、紛争の当事者ではない子どもたちが、戦争の代償を払い続けている状況が示された。

発言では、紛争地域での子どもの死傷者の約70%が爆発性兵器によるものとされ、スーダンでは、2026年に報告された子どもの死傷者のうち、爆発物を搭載した武装無人機によるものが約80%を占めるとされた。学校、病院、電力網、水や食料の供給システムといった生活基盤も攻撃や戦闘の対象となっており、子どもの命と成長を支える社会サービスが同時に失われている。子どもの権利条約が掲げる生命、生存及び発達の権利、教育を受ける権利、暴力から保護される権利は、紛争下で最も脆弱な形で侵害される。

栄養危機も深刻である。ユニセフによると、現在、26カ国で約3,800万人の子どもが緊急の栄養支援を必要としており、この中には約1,000万人の重度の栄養不良の子どもが含まれる。ラッセル事務局長は、飢きんや飢餓は不可避の自然現象ではなく、紛争解決、人道アクセスの確保、早期の政治的行動によって防ぎ得るものだと強調した。食料不足そのものだけでなく、紛争、干ばつ、食料・燃料価格の高騰、支援アクセスの制限が重なり、子どもの健康と生存を脅かしている点が重要である。

また、子どもへの性暴力や教育機会の喪失も重大な論点として示された。コンゴ民主共和国では、暴力が最も激しかった時期に、30分に1人の子どもが性的暴行の被害に遭っていたとされる。ガザでは学校の90%が損壊し、65万人以上の子どもが2年半以上学校に通えていない。教育は単なる学習の場ではなく、安全、保護、日常性、相談支援につながる基盤である。学校が失われることは、子どもが暴力、搾取、早婚、児童労働、心理的孤立にさらされるリスクを高める。

人権の観点からは、今回の発言は、子どもの人道危機を「支援不足」だけでなく、国際法の尊重、紛争解決、人道アクセス、資金配分の優先順位の問題として捉える必要性を示している。ユニセフは2026年、世界の7,300万人の子どもに支援を届けるため77億米ドルの資金を要請しているが、人道支援計画の規模は前年より25%縮小している。これはニーズが減ったためではなく、利用可能な資源が減少しているためだと説明されている。国際社会には、子どもへの重大な権利侵害を「新たな日常」として受け入れず、保護、教育、栄養、医療を命を守る支援として維持する責任が問われている。

出典

日本ユニセフ協会「世界の子どもの深刻な人道状況 未曾有の規模の暴力・剥奪・避難 『子どもの命を守る政治的決断と資金投入を』 ユニセフ事務局長」
URL:https://www.unicef.or.jp/news/2026/0054.html

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