中野区、下山田志帆氏らがスポーツと多様性語る 11月21日に人権啓発講演会

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この記事のポイント

1.中野区が11月21日、スポーツとLGBTQ+をテーマとした人権啓発講演会を明治大学中野キャンパスで開催する。
2.元女子サッカー選手の下山田志帆氏が講演し、中澤朋希氏、矢野マイケル氏らと意見を交わす。
3.先着100人が参加でき、事前質問の受付や手話通訳、一時保育も用意される。

下山田 志帆氏(元女子サッカー選手・株式会社wagamama共同代表)

スポーツの経験から「普通」を考える講演会

東京都中野区は2026年11月21日、令和8年度人権啓発講演会「その『普通』は、だれが決めた普通? スポーツとLGBTQ+から考える多様性と人権」を開催する。元女子サッカー選手の下山田志帆氏を講師に迎え、スポーツの経験を通じて、性別や性的指向、障害などに関する固定観念について考える。

会場は明治大学中野キャンパス3階310教室。午後2時から4時まで開催し、午後1時30分に開場する。「ダイバーシティフェスタ2026」の中で実施される企画で、定員は申込先着100人となっている。

講演会は2部構成で、第1部では下山田氏が自身の経験をもとに講演する。第2部では、ロービジョンフットサル選手の中澤朋希氏、元Jリーガーの矢野マイケル氏らが加わり、パネルディスカッションを行う。

区内在住、在学、在勤の人だけでなく、テーマに関心のある人も参加できる。

下山田志帆氏は現役時代から多様性について発信

講師の下山田志帆氏は1994年生まれ、茨城県出身。十文字高校、慶應義塾大学を卒業し、2017年にドイツでプロサッカー選手としての活動を始めた。2019年から4年間、日本のなでしこリーグでプレーし、2023年に現役を引退した。

下山田氏は、日本の現役アスリートとして初めて同性パートナーの存在を公表した人物としても知られる。

現役時代から、スポーツ界におけるジェンダーやセクシュアリティに関する課題について発信し、引退後も自治体や教育機関などで講演活動を続けている。

株式会社wagamamaの共同代表として事業活動にも携わり、吸水ショーツなど女性の身体に関わる課題に対応した製品を展開するブランド「OPT」を手掛けている。

講演では、下山田氏が経験したことを通じて、「男らしさ」「女らしさ」などの固定観念や、無意識の偏見について考える。

ロービジョンフットサルの中澤朋希氏らも登壇

第2部には、下山田氏のほか、中澤朋希氏と矢野マイケル氏が登壇する。司会進行を担うコーディネーターは、中野ダイバーシティウォッチャーズ共同代表で、「ともに生きるまちづくりと日本語教育」代表理事の寺浦久仁香氏が務める。

中澤朋希氏は、ロービジョンフットサルの選手で、ユニバーサルクロウ株式会社の代表取締役。ロービジョンフットサル日本代表として国際大会にも出場している。

ロービジョンフットサルは、弱視の選手が参加するフットサル競技である。視覚障害者スポーツという点ではブラインドサッカーと共通するが、競技方法や対象となる視覚障害の程度などに違いがある。

中澤氏は2025年のIBSAロービジョンフットサル世界選手権にも出場しており、日本代表は4位となった。競技活動と並行して、障害への理解を広める講演やイベントにも取り組んでいる。

矢野マイケル氏は元Jリーガーで、格闘家、シンガーソングライター、ラッパーとしても活動する。

サッカーという共通の経験を持ちながら、それぞれ異なる分野で活動してきた3人が、日常生活で感じる課題や多様性について意見を交わす構成となっている。

アンコンシャス・バイアスとは

講演で扱われる「アンコンシャス・バイアス」は、無意識の思い込みや偏見を意味する言葉だ。

例えば、「このスポーツは男性がするもの」「女性の選手はこうあるべき」「障害がある人には特定の活動が難しい」といった考え方が、本人の経験や能力を確認する前に判断へ影響する場合がある。

こうした思い込みは、必ずしも悪意によって生じるものではない。育ってきた環境や社会の慣習、過去の経験などを通じて形成されることがある。

そのため、アンコンシャス・バイアスを学ぶことは、誰かを非難することではなく、自分が当然だと思ってきた考え方を見直し、別の立場にある人の経験を理解する機会となる。

スポーツには、競技を通じて人が交流する力がある。同時に、競技に参加するための条件や周囲の認識が、特定の人にとって障壁となる場合もある。

中野区の講演会は、競技経験のある登壇者の話を通じて、こうした問題を身近な出来事として考える内容になっている。

性的マイノリティ理解増進法との関係

2023年には、「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」が施行された。一般には「性的マイノリティ理解増進法」または「LGBT理解増進法」と呼ばれる。

この法律は、性的指向やジェンダーアイデンティティに関する国民の理解を深めることを目的としている。

性的指向とは、どのような性別の人に恋愛感情や性的感情を持つかに関する概念であり、ジェンダーアイデンティティは、自分自身の性別をどのように認識しているかに関わる概念だ。

法律では、国や自治体、事業主、学校の設置者などによる理解増進の取組を定めている。ただし、同法は個別の差別行為に罰則を設ける法律ではなく、国民の理解を広げるための基本的な制度である。

中野区の講演会も、専門的な法律の説明だけでなく、登壇者の経験を通じて性的指向や障害などへの理解を深める地域啓発の機会といえる。

事前質問や一時保育、手話通訳も

講演会では、参加者から下山田氏への事前質問を受け付ける。スポーツ界におけるジェンダーやセクシュアリティ、性別に関する固定観念、多様性などについて、申込時に質問を伝えることができる。ただし、時間の都合からすべての質問に回答できるとは限らない。

当日は手話通訳を実施するほか、生後6か月から未就学児までを対象とする一時保育も用意する。一時保育は先着3人で、申込期間は10月21日から11月11日まで。

講演会の申込みは10月21日午前8時30分から、電子申請または電話(03-3228-8229)で受け付ける。

中野区は今回、講演だけでなく質問や意見交換を通じて参加できる構成を採用した。異なる経験を持つ登壇者の話を聞きながら、普段の生活で当たり前だと感じていることを考える機会となる。

出典

中野区「令和8年度中野区人権啓発講演会『その「普通」は、だれが決めた普通?』」 URL:https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/event/koen/jinnkenkeihatukouennkai20261121.html

東京都「東京ゆかりパラアスリート 中澤朋希」 URL:https://www.sports-tokyo-info.metro.tokyo.lg.jp/athlete/athlete/844.html

日本ブラインドサッカー協会「ロービジョンフットサル戦績&歴史」 URL:https://www.b-soccer.jp/national_team/japan_low_vision_matchdata

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人権ニュース編集部

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