サタケ、障害者雇用を本社勤務へ サテライト経由で正社員登用

この記事のポイント

1.サタケが、障害者向けサテライトオフィスで勤務した社員を順次正社員に登用し、東京本社勤務へ移している。
2.スキャン業務から始め、CADによるモデル編集、経理、クラウドシステムのデータ管理へ担当業務を拡大した。
3.法定雇用率の達成だけでなく、処遇、職務、昇進機会を含む「雇用の質」を確保できるかが企業の障害者雇用を測る基準となる。

株式会社サタケ様の障害者向けサテライトオフィス導入事例を公開

障害者雇用支援サービスを運営する株式会社HANDICAP CLOUDは7月21日、食品加工機械メーカーの株式会社サタケによる障害者向けサテライトオフィスの導入事例を公開した。サタケは、東京で採用した障害のある社員について、サテライトオフィスで業務経験を積んだ後、1年間安定して勤務した社員から順に正社員へ登用し、東京本社勤務へ移す方式を採っている。東京での障害者雇用がゼロだった状態から受け入れ体制を整え、広島本社での採用と合わせて、会社全体で法定雇用率2.7%を達成できる状態になったという。

サタケ経営本部人事部東京管理課の平井氏によると、東京本社では当初、障害者雇用の経験や相談先がなく、担当者のマネジメント時間を確保することも課題だった。HANDICAP CLOUDが運営する「エラビバ サテライトオフィス」を利用し、採用、体調把握、業務調整、定着支援を外部スタッフと連携して進めた。社内各部署から業務を集め、マニュアルとグループチャットを用いて仕事を伝える仕組みも整備した。依頼業務はスキャン作業から始まり、CADによるモデル編集、経理業務、クラウドシステムのデータ管理まで広がり、同時に10件以上を扱う場合もある。

合理的配慮として、納期に余裕のある業務の選定、休憩時間の自己調整、イヤホンや間仕切りの利用などを認めた。業務量を増やしすぎて社員が体調を崩した事例もあり、その後はリーダー業務を複数人に分散し、負荷が一人に集中しない運用へ改めた。東京本社へ移った後も、静かな就業スペースとカーテン付きの休憩場所を設け、月1回、60分の面談を続けている。サテライトオフィスを一時的な就業場所として使い、本社雇用への移行後も配慮を継続する設計である。

障害者雇用促進法に基づく民間企業の法定雇用率は、2026年7月1日に2.5%から2.7%へ引き上げられ、雇用義務の対象も従業員40人以上から37.5人以上の事業主へ広がった。2025年6月時点で民間企業が雇用する障害者は70万4,610人と過去最多だったが、実雇用率は2.41%で、当時の法定雇用率2.5%を達成した企業は46.0%にとどまった。雇用人数の増加と、職場で能力を発揮できる環境の整備は、別々に検証する必要がある。

事業主には、障害を理由とする差別の禁止に加え、過重な負担とならない範囲で合理的配慮を提供する義務がある。サテライトオフィスは、専門職による支援や静かな環境を確保しやすい半面、本社組織から離れた場所で定型業務だけを担う運用になれば、職務経験や昇進、同僚との交流が限られる可能性もある。厚生労働省の障害者雇用対策基本方針も、雇用率の達成に加えて、職業能力の開発や「雇用の質」の向上を掲げている。サタケ人事部が、東京本社へ移った社員の職務、処遇、定着状況を継続して示すことが、この移行型モデルを判断する材料となる。

出典

株式会社HANDICAP CLOUD「株式会社サタケ様の障害者向けサテライトオフィス導入事例を公開しました」 URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000045.000045231.html
参考 障害者雇用バンク「サテライトオフィスから本社勤務へ。サタケが築いた、障害者雇用を組織の力に変える仕組み」
URL:https://syogai-koyo-bank.com/contents/company-interview/20260701/
参考 厚生労働省「令和7年 障害者雇用状況の集計結果」 URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67490.html
参考 厚生労働省「雇用分野における障害者への差別禁止・合理的配慮」 URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/shougaisha_h25/index.html

人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

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