埼玉県が人権啓発冊子第21版を公開 14分野の課題と相談窓口を紹介

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この記事のポイント

1.埼玉県が11月2日、人権啓発冊子「みんなの人権 人権ってなんだろう?」第21版を公式サイトに掲載した。
2.全68ページに女性、こども、障害のある人、同和問題、外国人など14分野の人権課題を収録。相談窓口や関係法令も掲載する。
3.音声コードによる情報提供や講師派遣制度の案内もあり、県民の学習、相談、地域の人権研修に活用できる。

埼玉県の人権啓発冊子「みんなの人権 人権ってなんだろう?」
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68ページに14分野の人権課題を収録

埼玉県は2026年11月2日、人権啓発冊子「みんなの人権 人権ってなんだろう?」第21版を県公式ウェブサイトに掲載した。冊子は表紙などを含めて全68ページ。女性、こども、高齢者、障害のある人、同和問題(部落差別)、外国人、HIV感染者やハンセン病患者などの人権をはじめ、犯罪被害者と家族、アイヌの人々、インターネット上の人権侵害、北朝鮮当局による拉致問題、災害時の人権への配慮、性的マイノリティなど、14項目の人権課題を扱う。人権に関する基本的な考え方だけでなく、相談窓口や人権教育・啓発に関する制度も収録し、県民が必要な情報を確認できる構成となっている。

人権課題は、発生する場面も関係する制度も異なる。例えば、障害のある人が施設やサービスを利用する際には、段差や情報提供の方法など、社会の側にある障壁が問題となる場合がある。外国人に関する課題には、言語や文化の違いだけでは説明できない偏見や差別が含まれる。インターネット上の人権侵害では、差別的な投稿や個人情報の流布など、情報が拡散することによって被害が広がる問題もある。冊子はこれらを分野ごとに整理しており、読者が関心のある課題から学習を始められる。

人権侵害を感じたときの相談先も掲載

冊子の特徴は、人権課題の説明と相談窓口の案内を一体化している点にある。巻末では、一般的な人権相談から女性、こども、障害のある人、外国人などの相談まで、内容に応じた機関を掲載している。例えば、法務局につながる「みんなの人権110番」は0570-003-110で、平日の午前8時30分から午後5時15分まで相談を受け付ける。埼玉県男女共同参画推進センター「With You さいたま」の相談窓口も紹介している。各窓口の受付日時や対象となる相談内容は異なるため、実際に利用する際には各機関の最新案内を確認するとよい。

冊子には、相談の必要性を考える手がかりとなる調査結果も掲載されている。埼玉県の令和7年度インターネット調査では、「あなたが、御自身の人権を侵害されたと感じた場合、どのような対応をしますか?」との質問に対し、「わからない」と回答した割合が26.0%だった。回答者は3,654人で、身近な人に相談するとの回答は23.1%となっている。複数の回答を選べる方式の結果であり、この割合をそのまま県民全体の意向とみなすことはできないが、相談行動を考える際の参考となる。

相談先を知ることは、制度を利用するための最初の段階である。例えば、職場での差別的な扱いについて相談したい場合と、インターネット上に個人情報を掲載された場合とでは、適切な相談先や利用できる制度が異なることがある。冊子を通じて人権課題の種類と関係機関を確認できれば、問題を一人で抱え込まず、具体的な相談行動につなげる手がかりになる。

音声コードを各ページに配置

第21版には、音声コード「Uni-Voice」が各ページに印刷されている。Uni-Voiceは、対応するアプリや機器を利用して、印刷物に記録された文字情報を音声などで確認できる仕組みである。視覚に障害のある人や印刷物を読むことが難しい人が情報を得るための手段の一つとなる。冊子の表紙には音声コードの配置場所についての説明もあり、情報へのアクセスに配慮した構成となっている。

情報を提供することと、実際にその情報を利用できることは同じではない。文字の大きさ、使用言語、音声への対応、ウェブサイトの操作方法などによって、必要な情報へのアクセスが難しくなる場合がある。障害者差別解消法で定める「合理的配慮」は、障害のある人が直面する社会的障壁について、個別の事情に応じて必要かつ合理的な対応を行う仕組みである。音声コードの掲載と、法律上の個別の合理的配慮の提供とは区別されるが、情報を利用しやすい形で届けるという共通の目的を持つ。

2022年改定の県指針に基づく啓発活動

埼玉県は2002年3月に「埼玉県人権施策推進指針」を策定し、2012年3月に第1次改定、2022年3月に第2次改定を行った。第2次改定指針では、あらゆる場を通じた人権教育・啓発の推進、相談・支援の推進、県民やNPO、企業等と協働した地域づくりという3つの方向から人権施策を展開している。2026年度の人権関連事業についても、県はこの3つの視点ごとに概要を公開している。

こうした県の施策は、2000年に制定された「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」とも関係する。同法は、地方公共団体が国と連携しながら、地域の実情に応じて人権教育・啓発を進める責務を定めている。県の冊子は、その考え方を一般県民が利用できる形にまとめた資料といえる。

冊子には、人権・同和問題啓発講師の派遣制度や人権啓発・教育DVD等の貸出制度も掲載されている。講師派遣は、県内の市町村や企業などが実施する対象となる研修会について、県が啓発講師を派遣する制度で、所定の条件と申込手続がある。個人での学習だけでなく、職場や地域で研修を企画する際にも冊子を活用できる。埼玉県人権・男女共同参画課は、第21版の公開を通じて、人権課題の理解から相談、地域での学習活動までを支える情報を提供している。

出典

埼玉県「人権啓発冊子『みんなの人権 人権ってなんだろう?』」
URL:https://www.pref.saitama.lg.jp/a0303/samazama.html

埼玉県「みんなの人権 人権ってなんだろう?」第21版(PDF)
URL:https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/40730/r8nandarou.pdf

埼玉県「埼玉県人権施策推進指針について」
URL:https://www.pref.saitama.lg.jp/a0303/shishin.html

e-Gov法令検索「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」
URL:https://laws.e-gov.go.jp/law/412AC1000000147/

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人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、裁判所、企業、公益団体、国際機関などが公表する一次情報を確認し、差別、子ども、障害者、高齢者、教育、福祉、司法・制度、外国人、ビジネスと人権などに関するニュース、制度解説、独自調査を発信しています。記事では出典を明示し、事実関係を確認したうえで、関連する法制度や統計、過去の経緯などを参照しながら、人権上の論点や社会的背景を整理しています。

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