三重県、カスハラ対策を無料伴走支援 10月の法的義務化前に中小企業10者

この記事のポイント

1.三重県が中小企業など10者を対象に、カスタマーハラスメント対策のアドバイザーを最大5回派遣する。
2.2026年10月1日から全事業主にカスハラ防止措置が義務化され、今回の事業は施行直前の実務支援となる。
3.正当な苦情までカスハラとして排除しないため、定義、相談体制、組織対応を一体で整備する必要がある。

三重県のカスタマーハラスメント防止対策に関するアドバイザー派遣と出前講座

三重県は8月11日、県内の中小企業・小規模企業や商工会、商工会議所などを対象に、カスタマーハラスメント防止対策の無料アドバイザー派遣と出前講座を実施すると公表した。アドバイザー派遣は10者を募集し、1者・1団体につき最大5回。専門家が企業ごとの課題を確認し、対策マニュアルや相談体制を含む仕組みづくりを支援する。就業者向け出前講座は7者を募集し、2026年9月から2027年2月まで、定義、未然防止、初期対応、組織対応へのつなぎ方などを演習を交えて扱う。

事業の時期には明確な制度上の意味がある。改正労働施策総合推進法に基づき、2026年10月1日から業種や企業規模を問わず、事業主にカスタマーハラスメント防止措置が義務付けられる。厚生労働省はカスハラについて、顧客等の言動であり、業務の性質などに照らして社会通念上許容される範囲を超え、その結果として労働者の就業環境が害されるという要件を示している。単に「顧客から厳しい意見を受けた」だけで成立する概念ではない。

この区別は、現場の労働者を守ることと同時に、消費者やサービス利用者の権利を狭めないためにも欠かせない。企業が「迷惑な顧客」を広くカスハラ扱いすれば、商品やサービスへの正当な苦情、障害や認知症などを背景とする支援上の意思表示まで排除する危険がある。逆に、現場担当者だけに対応を委ねれば、長時間の拘束や暴言などから労働者を守れない。個人の接客能力ではなく、対応打切りの基準、上司への引継ぎ、記録、相談窓口などを組織として決めることが制度の核心となる。

三重県の事業を実施後に見る際は、講座の受講者数だけでなく、支援先10者でマニュアルや相談経路が実際に整備されたか、現場で組織対応へ切り替えられるようになったかが検証点になる。法施行まで2か月を切る中、県の伴走支援を企業内部の運用に落とし込めるかが、2026年度事業の具体的な成果となる。

出典

三重県「カスタマーハラスメント防止対策に関するアドバイザー派遣と出前講座を実施します」
URL:https://www.pref.mie.lg.jp/TOPICS/m0030700671.htm

厚生労働省「改正労働施策総合推進法等特設ページ」
URL:https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/foundation/law-amendment/

関連用語

カスタマーハラスメント
URL:https://jinken-news.com/glossary/customer-harassment/

人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

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