青森県で「インクルーシブあおもり2026」開催 ユニバーサル野球で共生社会を体験

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この記事のポイント

1.青森県が11月8日、障がいの有無や年齢を問わず参加できる「インクルーシブあおもり2026」を開催する。
2.20分の1サイズの野球場を使うユニバーサル野球大会に加え、視線入力技術やボッチャなどを体験できる。
3.障害者差別解消法や合理的配慮への理解を、スポーツや交流を通じて深める機会となる。

インクルーシブあおもり2026―みんなで楽しもう、もっとつながろう―

20分の1の野球場で、誰もが野球を楽しむ

青森県は2026年11月8日、青森市の青森県総合社会教育センターで、共生社会への理解を深める体験型イベント「インクルーシブあおもり2026」を開催する。会場には20分の1サイズの野球場が設けられ、障がいの有無や年齢にかかわらず楽しめる「ユニバーサル野球大会」が行われる。入場は無料で、午前10時30分から午後3時30分まで開催される。

イベントのテーマは「みんなで楽しもう、もっとつながろう」。障がいについて知識を得るだけでなく、スポーツや遊び、芸術などを一緒に楽しむことで、参加者同士が交流できる内容となっている。

中心となるユニバーサル野球は、堀江車輌電装株式会社が開発した、誰もが参加しやすい野球の仕組みを活用する。小型の野球場と専用の装置を使い、障がいのある人や年齢の異なる人が同じ競技を楽しめることが特徴だ。

大会には青森東高校野球部も参戦する。午前11時に試合が始まり、午後1時から2時には一般参加者が自由に体験できる時間を設ける予定。午後2時から決勝戦が行われ、午後3時に閉会する。試合の進行により時間が変更される場合もある。

元NHKアナウンサーの内多勝康さんが実況

大会の実況は、元NHKアナウンサーの内多勝康(うちだ・かつやす)さんが担当する。

内多さんは1963年東京都生まれ。1986年にNHKへ入局し、「首都圏ネットワーク」「NHKスペシャル」「クローズアップ現代」などのキャスターを務めた。2013年には社会福祉士の国家資格を取得し、2016年にNHKを退職した。

その後、医療的ケアが必要な子どもと家族のための短期入所施設「もみじの家」のハウスマネージャーを務めるなど、福祉の現場でも活動してきた。2025年には一般社団法人ソーシャルアクションジャパンを設立し、代表理事に就任している。

放送現場と福祉現場の双方で活動してきた内多さんが実況を担当することで、競技そのものに加え、選手たちの挑戦や交流を楽しめる大会となりそうだ。

視線入力EyeMoTやボッチャも体験

会場には、身体の動きやコミュニケーションの方法について理解を深められる体験・展示ブースも設けられる。

一般社団法人りあんによる視線入力ソフト「EyeMoT(アイモット)」の体験では、画面を目で見つめることでパソコンを操作し、ゲームや絵を楽しむことができる。

EyeMoTは、重度の障がいがある人のために生まれた視線入力ソフトで、手や指による操作が難しい人にも、機器を使った表現や活動の可能性を広げる技術である。会場では、障がいの有無にかかわらず視線による操作を試せる。

青森県障害者スポーツ協会による「ボッチャ体験」も実施される。ボッチャは、目標となる白い球に、自分の球をどれだけ近づけられるかを競うスポーツ。パラリンピックの正式競技でもあり、体の動かし方に合わせた投球方法を工夫できる。

食に関する展示では、「スナック都ろ美」が参加する。噛むことや飲み込むことに困難がある子どもと保護者が始めたコミュニティで、会場では配慮食の試食やサンプルが用意される。

芸術分野では、青森県立美術館で開催される「ART PLAYERS展」の一部を紹介する特別展示が行われる。青森県立特別支援学校の生徒などが制作した作品を通して、自由な発想や表現に触れられる。

「インクルーシブ」とは何か

「インクルーシブ(inclusive)」は、英語の「包み込む」「排除しない」という意味に由来する言葉である。

福祉や教育の分野では、障がいのある人を別の場所で受け入れるという発想にとどまらず、最初から多様な人が参加できる環境を整える考え方として使われる。

その土台となるのが、障害者権利条約や障害者差別解消法である。

日本では2014年に障害者権利条約が発効し、2016年には障害者差別解消法が施行された。2024年4月からは、民間事業者にも合理的配慮の提供が義務付けられている。

合理的配慮とは、障がいのある人が社会生活で直面する障壁を取り除くため、個々の状況に応じて必要な調整を行うことである。例えば、筆談による情報提供や、車いすで利用できる動線の確保などが挙げられる。

ここで重要なのは、障がいのある人だけが既存の環境に合わせるのではなく、環境や参加方法を工夫することによって、活動の機会を広げるという考え方である。

今回のユニバーサル野球には、この発想が具体的な形で表れている。競技に参加できる人を選別するのではなく、競技の仕組みを工夫することで参加の幅を広げているためだ。

競技を楽しむことから始まる社会参加

障がいについて理解を深める方法は、講演会や研修会だけではない。共通の競技を楽しみ、同じ作品を鑑賞し、普段は接する機会の少ない人と交流することも、相互理解の入口になる。

特にユニバーサル野球やボッチャでは、参加者が同じルールの下で試合を楽しむことができる。障がいを誰かの個人的な問題として捉えるだけでなく、道具や環境の工夫によって参加の可能性が変わることを体験できる点に特色がある。

「インクルーシブあおもり2026」は、競技への参加だけでなく、観戦や展示の見学もできるイベントとなっている。家族連れをはじめ、障がい者スポーツや福祉に関心を持つ人、これまで交流の機会がなかった人にとっても、共生社会について身近に考える機会となる。

会場は青森市荒川藤戸119-7の青森県総合社会教育センター2階大研修室。青森県障がい福祉課社会参加推進グループが問い合わせに対応している。

出典

青森県「インクルーシブあおもり2026を開催します」
URL:https://www.pref.aomori.lg.jp//soshiki/kenko/syofuku/20261108_inclusiveaomori2026.html?ref=rss

青森県「インクルーシブあおもり2026」
URL:https://www.pref.aomori.lg.jp//soshiki/kenko/syofuku/files/inclusiveAOMORI2026.pdf

内閣府「改正障害者差別解消法が施行されました」
URL:https://www.cao.go.jp/press/new_wave/20240520.html

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人権ニュース編集部

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