1.愛媛県は11月12~25日の「女性に対する暴力をなくす運動」に合わせ、県庁本館を紫色にライトアップする。
2.11月16~20日には県庁第一別館でパネル展を実施し、DVや性暴力被害者の相談窓口を周知する。
3.被害者が加害者に知られず相談できる環境と、緊急保護から生活再建までの支援の接続が課題となる。

県庁ライトアップと相談情報の発信
愛媛県は2026年11月12日から25日まで、国の「女性に対する暴力をなくす運動」に合わせ、県庁本館のパープルライトアップなどを実施する。点灯時間は各日午後6時頃から10時まで。県庁第一別館1階ロビーでは11月16~20日にパネル展を開き、DV相談ナビや性暴力被害者支援に関する啓発グッズを配布する。国の男女共同参画推進本部が定める運動期間の最終日、11月25日は国連の「女性に対する暴力撤廃国際日」に当たる。
運動が対象とする問題は、配偶者等からの暴力に限らない。性犯罪・性暴力、ストーカー行為、売買春、人身取引、セクシュアルハラスメントなども含まれる。被害の態様や加害者との関係によって、相談先や利用できる制度は異なるため、これらを一括して同じ支援方法で対応できるわけではない。
DVには身体的暴力以外の形態もある
DVは、殴る、蹴るといった身体的暴力だけでなく、脅迫や威圧、経済的な支配、性的な強要などを含む。加害者と同居していたり、住居や生活費を依存していたりする場合、被害者は危険を認識していても直ちに離れることができない場合がある。携帯電話や交友関係を監視されている状況では、支援機関へ相談した事実が加害者に知られること自体が危険を伴う。
配偶者暴力防止法は、相談支援や一時保護、裁判所による保護命令などの仕組みを定めている。2024年4月施行の改正法では、接近禁止命令等の対象となる被害の範囲や命令の期間などが見直された。ただし、保護命令の要件や対象となる関係には法律上の定めがあり、DVと考えられる全ての行為について同じ命令が発令されるわけではない。
性暴力被害の支援には別の仕組みがある
性暴力被害では、医療、心理的ケア、法律相談、捜査機関への相談などが関係する。被害の申告を迷っている場合でも、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターなどへ相談できる。全国共通の短縮ダイヤル「#8891」から最寄りの支援センターにつながる仕組みがあるが、相談可能な時間や提供される支援の具体的内容は地域によって異なる。
相談先の周知では、被害者が望まない申告や手続を強制されないこと、本人の意思と安全を尊重することが重要になる。被害の状況を何度も説明しなければならないことや、相談後の見通しが分からないことは、相談をためらう原因にもなり得る。窓口の名称だけでなく、相談の対象、秘密の取扱い、医療や法律支援への接続方法を知らせる必要がある。
啓発活動と救済制度を区別した評価
紫色のライトアップは、女性への暴力を容認しない意思を広く示す啓発活動である。しかし、啓発活動の実施実績と、被害者が実際に安全を確保できたかという成果は異なる。相談件数が増加した場合も、被害の増加だけでなく、それまで相談できなかった人が窓口につながった可能性を考慮しなければならない。
愛媛県が実施するパネル展と相談情報の配布については、DV相談ナビと性暴力被害者支援の違いを県民が理解できるか、相談後に医療、保護、住居、生活再建の支援へつながれるかが、啓発事業の実効性を検討する際の具体的な課題となる。
愛媛県「女性に対する暴力をなくす運動期間(11月12日~25日)の取組み」
URL:https://www.pref.ehime.jp/page/7027.html
内閣府男女共同参画局「女性に対する暴力をなくす運動」
URL:https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/no_violence_act/index.html
配偶者暴力防止法
URL:https://jinken-news.com/glossary/haigusha-boryoku-boshi-hou/
DV
URL:https://jinken-news.com/glossary/domestic-violence/
性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター
URL:https://jinken-news.com/glossary/one-stop-support-center-for-sexual-violence/

