1.富山市は11月21日、こどもの小さなサインと虐待予防をテーマに講演会を開催する。
2.NPO法人ひだまりの丘の理事長、蛯沢光氏が講演し、市民100人を募集する。
3.児童虐待の防止では、こどもの意思を尊重しながら、安全確保と専門機関への通告を適切に行うことが課題となる。

こどもの声を聴く講演会
富山市は2026年11月21日午後2時から3時30分まで、富山県民会館4階401号室で「令和8年度富山市こども虐待防止講演会」を開催する。講演テーマは「見逃さないで、小さなサイン~こどもの声を聴くことが、虐待予防の第一歩~」。特定非営利活動法人ひだまりの丘理事長の蛯沢光氏が講師を務める。参加対象は市民で定員100人、入場無料。申込みは電子申請または電話で受け付け、定員に達した時点で締め切る。担当は富山市こども家庭部こども健康課児童相談係となっている。
講演会の主題である「こどもの声を聴くこと」は、虐待の兆候を把握することだけでなく、こどもを意思や感情を持つ権利の主体として扱うことにも関係する。児童虐待を受けているこどもは、自らの状況を虐待として認識できなかったり、保護者との関係を恐れて周囲に伝えられなかったりする場合がある。
児童虐待防止法と通告義務
児童虐待防止法は、身体的虐待、性的虐待、ネグレクト、心理的虐待の4類型を定めている。外傷がなくても虐待に該当する場合があり、暴言や拒絶的な態度、適切な養育の放棄なども問題となる。
同法は、虐待を受けたと思われる児童を発見した人に、児童相談所などへの通告を義務付けている。虐待の有無について確証を得てから通告しなければならないわけではない。児童相談所虐待対応ダイヤル「189」は、虐待が疑われる場合に利用できる全国共通の窓口である。
ただし、こどもの様子に変化があることだけで、その原因が虐待と断定できるわけでもない。学校や保育施設、地域の関係者には、先入観によって家庭を非難するのではなく、把握した事実を整理し、必要に応じて専門機関へ相談・通告する対応が必要になる。
こどもの意見表明と安全確保
2023年4月に施行されたこども基本法は、全てのこどもを個人として尊重し、年齢や発達の程度に応じて意見が尊重されることなどを基本理念に定めている。
虐待防止の場面でも、こどもの意見を聴くことは重要である。ただし、こどもが被害を説明できるとは限らず、本人の希望をそのまま実現することが安全の確保につながるとは限らない。例えば、家庭に戻りたいという気持ちがある場合でも、危険が差し迫っていれば、児童相談所などが安全確保のための判断を行う必要がある。
周囲の大人が被害の詳細を無理に聞き出そうとすることにも注意が必要となる。質問の仕方によってはこどもに心理的な負担を与えるほか、その後の専門的な面接や事実確認に影響を及ぼす可能性がある。こどもが話し始めた場合には、落ち着いて受け止め、必要な情報を適切な支援機関につなぐことが基本となる。
家庭支援と虐待防止を結び付ける
児童虐待を防ぐには、被害を早期に把握する体制に加え、養育上の困難を抱える家庭への支援も関係する。育児上の孤立、経済的困難、保護者の心身の不調などが重なる場合、家庭だけで問題に対処することが難しくなることがある。ただし、これらの事情がある家庭で必ず虐待が発生するわけではない。
富山市の講演会は、こどもの小さなサインに気付き、その声を聴くことをテーマとしている。講演で得た知識が地域の保護者や学校、支援関係者に共有され、富山市こども健康課や児童相談所への適切な相談・通告につながるかが、地域の虐待防止施策を検討する際の課題となる。
富山市「令和8年度 富山市こども虐待防止講演会」
URL:https://www.city.toyama.lg.jp/health/k_sodan/1010486/1019534.html
児童虐待防止法
URL:https://jinken-news.com/glossary/jidou-gyakutai-boshi-hou/
関連用語 こども基本法
URL:https://jinken-news.com/glossary/kodomo-kihon-hou/
関連用語 児童相談所虐待対応ダイヤル189
URL:https://jinken-news.com/glossary/child-abuse-hotline-189/

