1.子どもの人権連が「Noヘイト/Yes共生」を掲げ、海外にルーツを持つ子どもとアライによる約1分の動画を10月31日まで募集している。
2.顔を出さず、ニックネーム、イラスト、写真、ダンス、歌などで応募でき、日本語以外の自分が使いやすい言語も選べる。
3.子どもの意見表明権は発言を義務付けるものではなく、差別経験やルーツを「語らない」選択とプライバシーを保障することも参加の条件となる。

約1分、自分の使いやすい言語でも応募
NPO法人子どもの人権連(C-Rights)は、「Noヘイト/Yes共生~みんなでつくる海外ルーツ&アライ動画プロジェクト」で、海外にルーツを持つ子どもと、その仲間であるアライからの動画を募集している。当初の締め切りを1カ月延長し、10月31日まで応募を受け付ける。対象は高校生または17歳以下。海外ルーツの子どもに加え、海外ルーツの仲間と安心して暮らせる社会をつくりたい子どもも参加できる。
動画は約1分で、自分が感じていること、社会へ伝えたいこと、将来の夢などを表現できる。顔出しは必要なく、ニックネーム、イラスト、文字、写真、ダンス、歌などの方法も選べる。日本語に限定せず、自分が使いやすい言語で応募できる。個人には1,000円分、グループには2,000円分のQUOカードが謝礼として用意されている。
子どもは「差別を説明する教材」ではない
外国につながる子どもを扱う事業では、日本語学習や生活支援など、大人側が必要な支援を設定する構成になりやすい。今回の企画では、何を話すか、どの表現方法を使うかを子ども本人が選べる。子どもの権利条約12条が定める意見表明権とも重なる設計であり、子どもを保護の対象だけではなく、社会について意見を持つ権利主体として扱う取組といえる。
しかし、「子どもの声を聞く」ことを善とするあまり、海外ルーツの子どもに差別された経験や家族の出自を説明する役割を期待し過ぎれば、別の負担を生む。子どもが人権教育のために自分のつらい経験を開示しなければならない理由はない。国連子どもの権利委員会も、意見を表明することは子どもの権利であって義務ではなく、行使しないことを選べると解説している。
「語らない権利」も意見表明権の一部
国籍、民族的背景、家族の出身地、差別経験などは、本人が公開範囲を慎重に選ぶべき個人情報でもある。特にインターネットに掲載された動画は保存や転載が容易で、本人が成長した後まで残る可能性がある。そのため、子どもの参加では「何を発言できるか」だけでなく、「何を発言しないか」「誰にだけ見せるか」を本人が選べることが重要になる。
C-Rightsは、応募作品を人権イベントやワークショップなどで利用するとしつつ、ウェブサイトやSNSへの掲載については本人が希望した場合に限るとしている。顔を出さない応募も認め、応募者が嫌だったことや困ったことを相談できる窓口も案内している。
「海外ルーツ」を一つの経験にしない
海外にルーツを持つ子どもといっても、日本で生まれ育った人、日本語より別の言語を使いやすい人、複数の文化的背景を持つ人、ルーツを周囲に知られたくない人など状況は異なる。「海外ルーツだから差別に苦しんでいる」「海外ルーツだから国際交流について語る」といった一つの物語に当てはめないことも必要になる。
今回の動画プロジェクトは、子どもが表現方法と言語、ネット公開の有無を選べる点で、意見表明とプライバシーを同時に扱っている。10月31日以降に作品を活用する際も、子どもの声を大人の啓発目的に合わせて切り取るのではなく、本人が選んだ表現と公開範囲を尊重できるかが、「Noヘイト/Yes共生」を実践する上での具体的な基準となる。
子どもの人権連「Noヘイト/Yes共生 海外ルーツ&アライ動画プロジェクト」
URL: https://c-rights.org/kyoprp_movie_1031/
外国につながる子ども
URL: https://jinken-news.com/glossary/children-with-foreign-roots/
ヘイトスピーチ
URL: https://jinken-news.com/glossary/hate-speech/
子どもの権利条約
URL: https://jinken-news.com/glossary/kodomo-no-kenri-joyaku/

