1.岩手県は、訪問看護師や訪問介護職員らを対象とするHIV感染症・エイズの実地研修の受講者を10月16日まで募集している。
2.受入先は岩手医科大学附属病院。最低6時間程度の研修を2027年3月10日までに実施する。
3.治療の進歩でHIV陽性者の長期療養が可能になる中、専門病院だけでなく地域の在宅医療・介護で支える体制整備が事業の目的となる。

治療の進歩で変わるHIV医療の課題
岩手県は9月28日、HIV感染者・エイズ患者の在宅医療・介護を担う訪問看護師、訪問介護職員らを対象とする実地研修事業の受講案内を公表した。公益財団法人エイズ予防財団が主催する全国事業で、岩手県ではエイズ中核拠点病院の岩手医科大学附属病院が研修を受け入れる。申込期限は10月16日で、研修時間は最低6時間程度。2027年3月10日までに実施する。
この事業が対象とするのは、急性期のHIV治療だけではない。抗HIV治療の進歩によって長期に生活する人が増え、治療の副作用や加齢に伴う疾病、介護など、地域生活を継続するための課題が生じる。エイズ予防財団の事業は、こうした長期療養に対応し、自宅にいながら医療・介護を受けられる環境を整えることを目的としている。
専門病院の知識を訪問看護・介護へ
岩手医科大学附属病院では、HIV感染症・エイズに関する知識のほか、HIV看護・ケアなどを扱う。受講対象を病院勤務者に限定せず、実際に地域で在宅療養を支える訪問看護師や訪問介護職員としている点が制度上のポイントとなる。
エイズ予防財団の「HIV感染者・エイズ患者の在宅医療・介護の環境整備事業」は、今回の実地研修だけで構成されているわけではない。地域の医療・介護で対応が難しい事例を支える「支援チーム派遣事業」、地域の医師、歯科医師、透析医らを対象とする「HIV医療講習会」も実施している。専門拠点病院に患者を集中させるのではなく、地域側の対応力を広げる仕組みとして設計されている。
医療・介護へのアクセスを地域で確保
HIVをめぐる人権課題では、感染そのものへの医療だけでなく、必要な医療・介護サービスを地域で継続して利用できるかという問題がある。高齢化や要介護状態になった場合、HIV治療を担当する専門医だけでは生活全体を支えることはできない。訪問看護、訪問介護、歯科、透析など、一般の地域サービスとの接続が必要になる。
その際には、感染症に関する正確な知識と標準的な感染対策を共有し、HIV陽性であることだけを理由にサービス利用が狭められない環境を整えることが、医療・介護へのアクセス確保につながる。今回の岩手県の研修は、岩手医科大学附属病院が持つHIV医療・ケアの知識を地域の訪問職へ広げる仕組みであり、県医療政策室が10月16日まで受講希望者を受け付ける。
岩手県「HIV感染者・エイズ患者の在宅医療・介護の環境整備事業 実地研修事業」
https://www.pref.iwate.jp/kurashikankyou/iryou/kenkou/aids/1003191.html
API-Net エイズ予防情報ネット「HIV感染者・エイズ患者の在宅医療・介護の環境整備事業」
https://api-net.jfap.or.jp/library/care.html

